心理の棚

心理学の論文や書籍から得た知識をシェアしていきます。当ブログでは、心理学の知識を学べるでしょう。

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自分の声を聞けば、感情をコントロールできるかも

voice controll emotion

エンボディードコグニションという言葉を知っていますか?

日本語で、身体化された認知と訳され、「体や感覚の情報が精神に影響を及ぼす」ことを意味します。

例えば、人から温かい飲み物をもらうと、その人のことを温かい人間だと評価するなどがエンボディードコグニションです。体や感覚に伝わった温かいという情報が、相手への印象に影響を与えるのです。

今回は、このエンボディードコグニションに関する一つの例をご紹介します。

2015年に出た論文(1)では、自分の声を聞くと感情が変化することを示したそうです。

自分の声でハッピーに?

カリフォルニア大学が研究したのは、操作された声で感情は変化するのかです。

この研究では、112人の学生を対象に実験を行っています。被験者らを4つのグループに分け、介入を行ったそう。

  1. 自分のハッピーな声を聞くグループ
  2. 自分の悲しげな声を聞くグループ
  3. 自分の怯えている声を聞くグループ
  4. コントロール群

3つのグループには、村上春樹の本を声に出して読ませ、ヘッドフォンで自分の反射する声を聞かせたようです。

この時、実験者は彼らの声に対し、機械を使ってピッチを上げたり圧縮したりして、感情的な声になるよう操作しています。

対して、コントロール群には、そのままのニュートラルな声を聞かせたとのこと。

 

さて、介入前後の感情の変化を質問紙で比べると、

  • ハッピーな声グループは、ポジティブな感情が上がった(効果量0.75)
  • 悲しげな声グループは、ポジティブな感情が下がった(効果量0.7)
  • 怯えた声グループは、変化なし

という結果に。

さらに、自分の声が操作されたと気づいた人は16人しかいなく、後の96人は操作されたことにすら気づかなかったそうです。

つまり、人は自分の喋っている声のトーンがハッピーに聞こえるほど、ポジティブになるということ。例えその時の気分がポジティブでなかったとしても、声の聞こえ方次第で気分を上げることができるのです。

 

さて、今回の実験結果を受け、著者は、

「感情の変換は、治療に使えるかもしれない。40~75%の精神障害は、感情調節の問題が特徴だと推定されている。

感情的記憶の再学習または、感情的に負荷された刺激、修正された声で再記述することにより、肯定的な態度変化を引き起こせる可能性がある。」

とのこと。声を使った治療で、精神障害の問題を解決する日がくるかもしれませんね。私も不安傾向が高いので、ちょっとやってみたい気もします。

 

まとめ

ポジティブな自分の声を聞くと、気持ちもポジティブになるようです。

ボイスチェンジャーを使ってピッチを上げた声を聞くと、あなたの気分は上がるかもしれません。

ただ、自分の声が嫌いな人は、聞く行為自体が逆効果になる可能性もあるので、注意して行ってください。