前回のエントリーで紹介したのは、呼吸瞑想がストレスの減少に役立たないということ。そしてさらにリサーチを進めると、またしても効果の認められないものを発見しました。
なんと、呼吸瞑想は集中力に関係するというマインドワンダリングに効果がないようなのです。つまり、集中力のアップが見込めないということ。
今回は、呼吸瞑想とマインドワンダリングに関する意外な事実について掘り下げていきます。
集中力を低下させる原因、マインドワンダリングとは?
呼吸瞑想とマインドワンダリングの関係について明かす前に、まずはマインドワンダリングについて説明します。
皆さんは本を読んでいる時や、人の興味の無い話を聞いている時、頭がボーっとすることはありませんか?「昨日のテレビ面白かったな」や「今日のご飯は何だろう」など、つい頭の中で未来や過去のことをぐるぐると考えてしまう。
この様に思考が集中から離れ、無意識に別のことを考えている状態をマインドワンダリングと呼びます。
当然、マインドワンダリングになると目の前の作業や話とは違うことを考え始めるので、集中力は低下します。
勉強中や大事な仕事の時にマインドワンダリングが起こってしまえば、思わぬミスや失敗に繋がるかもしれません。
瞑想とマインドワンダリングとの関係
大事なことに集中するためには、マインドワンダリングを止めなければなりません。理由は目の前のことと別のことを考えると、注意が逸れるから。そんな時、役に立つのが瞑想です。
瞑想は今この瞬間に意識を集中させるためのトレーニング。心のさまようマインドワンダリングとは反対の状態に意識を変えます。
瞑想の効果は科学的にも認められていて、注意が逸れていることに気づきやすくなったり、集中力がアップしたりなど、様々な効果があります。マインドワンダリングを止めるには、ぴったりの方法に思えるでしょう。
しかし最近出た論文では、世間で言われている効果とは異なる結果が出たようです。その意外な実験結果をご紹介していきます。
呼吸瞑想でマインドワンダリングは止められるのか?
マインドワンダリングと瞑想との関係ですが、瞑想法によっては効果が認められない場合もあるようです。3年間呼吸瞑想ばかりしていた身としては、耳の痛い話となっております。
カーネギーメロン大学が行った実験(1)では、呼吸瞑想がマインドワンダリングに効果がないことを明らかにしたようです。
被験者は18歳から30歳の147人。ランダムに次の4つのグループに分けて実験をしたそう。
- モニタリングのみの瞑想(呼吸瞑想)
- モニタリング+アクセプタンス瞑想
- リラクゼーショントレーニング(ビーチや森を歩いていることを想像する)
- 文章を読む(地理や文化、環境についての記事を読む)
20分間のセッションを計4回行った後、注意持続テストでマインドワンダリングの起きやすさを調べたようです。
さて、実験の結果どうなったかというと、
- 3つのグループの中でモニタリング+アクセプタンス瞑想が、最もマインドワンダリングの発生が少なかった
- モニタリング瞑想と文章を読んだグループは結果に統計的な差がなかった
- リラクゼーショントレーニングには、有意差が期待された(マインドワンダリングの回数は減った)が、統計的に有意ではなかった
という感じ。
最も効果のあったのが、モニタリング+アクセプタンスで、2番目にリラクゼーションだったそうです。呼吸瞑想と文章読みには有意な差がなかったようなので、やっても意味がなさそう。前回に引き続き、呼吸瞑想に不利な実験結果となりました。んー、非常に残念。
ちなみに、論文の著者は今回の実験結果のことについて次のように述べています。
「今回の研究で分かったことは、マインドフルネストレーニングがマインドワンダリングを減少させることを示す既存の証拠と一致しており、マインドフルネストレーニングにおけるアクセプタンスの要素がこれらの効果の重要な構成要素だと示した」
マインドフルネスでは、アクセプタンスの要素が欠かせないようですね。アクセプタンス+モニタリング瞑想のやり方について気になった方は、前回のエントリーを参照ください。
まとめ
瞑想とマインドワンダリングとの関係ですが、どうやらアクセプタンスを取り入れなければ効果は出ないようです。瞑想初心者の方は、呼吸に集中する方法を実践している方も多いはず。しかし、その方法では効果が出るとはいえません。
カーネギーメロン大学の実験で分かったのは、マインドワンダリングを減少させる方法がアクセプタンスを含んだ瞑想法ということ。コンパッショネイトボディスキャンや、慈悲の瞑想などの方が効果的なようです。
呼吸瞑想を続けている方は、今一度、別のやり方を考えてみてはいかがですか?