心理の棚

心理学の論文や書籍から得た知識をシェアしていきます。当ブログでは、心理学の知識を学べるでしょう。

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寝る前にこんな音楽を聞くと睡眠の質が上がるかも

sleep music

なかなか寝付けない日ってありますよね。寝る前までネットしてて興奮しすぎて眠れなかったり、明日が大事な日で緊張して目が覚め続けていたり...。

そんな時に、気を紛らわそうと音楽を聞いて寝ようとする人がいます。もちろん、私もたまにやっていたのですが、これって睡眠の質的にはどうなの?という疑問があるんですよ。

音楽聞くと脳が興奮して、睡眠の質が下がるんじゃないの?と思っている方もいると思います。

そこで、今回は寝る前の音楽が睡眠の質に与える影響について、心理学論文で得た知識からお伝えしていきます。

 

 

睡眠に問題のある人には効果がありそう

睡眠に関する論文をリサーチした結果、「何らかの病気の痛みによって眠れない人」や「睡眠障害で寝れない人」へ向けた治療法として、音楽は使われているそうです。

例えば、2013年に出た論文(1)では、10個の信頼性の高い研究を統合(メタ分析という)した結果、睡眠障害の人たちには音楽で睡眠の質が上がることを明らかにしたとのこと。

このメタ分析は、557人の被験者を分析したとのことで、寝る前に曲を聴くことで睡眠の質が大きく改善できたみたい。

他にも2009年に出たメタ分析(2)でも睡眠の質を高めたとの結論が出ているなど、音楽を支持する研究がいくつも出ています。

論文の質が高く信頼性が高いので、睡眠障害の人にとって音楽は期待できるのではないでしょうか。

睡眠の質を上げたのは、リラックスできる音楽

睡眠の質を上げるために使われる音楽の種類は、リラックスを促してくれるクラシックの曲です。特に、60ビートの曲が使われるのだそう。

なぜ、60ビートなのかというと、リラックス時の人間の心拍数が60に近いからだとか。その曲を聴くと、心拍数も同じリズムになっていくという不思議な現象が起こるそうです。

高い睡眠の質というのは、寝る前の心拍数が下っていて心が落ち着いていることが求められます。なので、60ビートのクラシックが使われるということです。

 

睡眠に問題のない人はどうなの?

音楽が睡眠に問題のある人に効くというのは分かりました。では、普通に眠れる人はどうなのでしょうか?

小学生には効果あるのかも

86人の小学生を対象とした研究(3)では、音楽で睡眠の質が向上したというデータが得られたそうです。実験は3週間に渡って行ったとのこと。

この研究の実験デザインはこんな感じ。

  • 被験者を、寝る時に45分間音楽をかけるグループとかけないグループにランダムに分ける
  • 介入群には、昼寝と夜の寝る時に音楽を流す
  • 睡眠の質を質問紙で調査

流した曲は、78ビートから48ビートへと変化するクラシック音楽とのこと。徐々にリズムが落ちる曲だと、睡眠時の心拍数の変化と一致するので、60ビートを流し続けるよりかは効果が高そうな気がします。

で、結果どうなったかと言うと、

  • 睡眠の質は上がった
  • 中でも睡眠効率と睡眠時間が改善した

といった感じに。ちなみに、睡眠効率というのは、ベットにいる時間の中でどれくらい眠りについていたのかを表すものです。

一見効果がありそうな気もするのですが、この実験はデザインに一部問題があります。それは被験者たちが実験に参加しているということを意識してしまっていたという点です。

著者曰く、

大きな実験効果の別の説明は、ホーソン効果による結果だとも言える。

つまり、研究では彼らが被験者だと気づいていたことによって介入の反応が得られた可能性があるということだ。

ということで、被験者たちは「自分達は睡眠の実験をされてるんだ」と意識して、睡眠の質が向上したのかもしれないみたいです。プラセボ効果みたいな感じですかね。

つまり、音楽の効果はあるかもしれない、ただ害はなさそうということになるでしょう。

大人では特に効果はないみたい

別の研究ではですね、平均年齢23歳の人を対象とした実験(4)で、音楽に効果はなさそうという結果が出たようなのです。

この実験は20人の被験者に行ったものでして、デザインはこんな感じとなっております。

  • 介入群は夜寝る前に、音楽を45分聴く(3週間に渡って)
  • コントロール群は、特になにも指示しない
  • 質問紙で睡眠の質を調査

こちらの実験では、同じくクラッシク音楽を聴かせたそうなのですが、ビートについては記載がありませんでした。とにかく落ち着く曲を聞いたってことになります。

さて、結果は、

  • どの期間においても、睡眠の質にグループ間の差はなかった

という感じに。ビートを考慮した上でやってないので、何んとも言えないのですが、単に落ち着くだけの曲では効果ないということになるかもしれませんね。

あと被験者の数が少ないと言うこともあって、著者はその信頼性について指摘しています。

これらの結果に補足して、私たちのデータは普通の睡眠を報告した人たちの睡眠の質に、同じ音楽を聴く介入の有益さや悪影響を明らかにしなかった。

しかしながら、この研究で有意な効果が不足したのは、第2種の過誤による可能性がある。

第2種の過誤というのは、被験者の数が少ないことで本当はあるはずの効果を確認できなかったことを意味します。

ということで、音楽は確実に効果なしとはいえないものの、害はないよということになりそう。子供も大人も落ち着く音楽を聞けば、睡眠の質に悪い影響はでないみたいです。

 

クラシック意外だとナイトメアに?

睡眠の質のためには、クラシック音楽であれば問題はありません。では、他の音楽だとどうなのでしょうか?テンポの早い曲だと脳が興奮して、眠れなさそうな気がします。

2013年に出たメタ分析(5)では、738人の被験者を対象に睡眠と音楽の関係を明かしたようです。

分析では、

  • 音楽を聞くと眠りにつくまでの時間が遅くなる傾向にあった
  • 音楽を聞く人たちはナイトメアのリスクが高かった

ということが分かったそう。つまり、寝る前のクラシック音楽以外の曲は眠りの時間を減らし、悪夢を見る可能性が高まるということになります。

この分析では、被験者たちがどんな音楽を聞いていたのかは問題の焦点になっていないようです。ということで、クラシック以外の落ち着かない曲を聞いた場合は、睡眠の質に悪い影響があるということになるかもしれません。

確かに、私も音楽を聞いてから寝ると、夢が鮮明になって起床後の気分が悪くなったのを覚えています。聞く音楽は選んだ方が良さそうです。

 

まとめ

いつもなかなか寝付けないんだよね、という人は寝る前に60ビートの音楽を聞いてみると眠れるかもしれません。

もちろん、睡眠の質が普通だと思う人でも聞くこと自体に問題はありません。ただ、クラシック意外の曲の場合、話は変わってくるのでオススメしないです。悪夢を見たくない、睡眠の質を下げたくないという人は、クラシックまたは何も聞かないのがよいでしょう。