心理の棚

心理学の論文や書籍から得た知識をシェアしていきます。当ブログでは、心理学の知識を学べるでしょう。

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値段が同じでも、生産国の違いで購買意欲が変わることが判明

wine-price
北海道産のチーズ、青森県産のリンゴ。売られている商品には、どこどこで作られたという説明が載っていることがあります。

この出産国の表記は、ただ私たちに作られた場所を教えるためだけに載せられているのではありません。

では一体何のために載せているのでしょうか?

それは、その方が売れるからです。

実際、同じ値段の商品でも、~で作られたと表記したほうが売れやすいことが科学的に証明されています。

今回は、新しい研究から、その1例をお伝えしていきます。

  

  

生産国のラベルがあると、払いたい金額が上がる

あなたは今、実験に参加中だとします。

これから、同じような味の6つのワインを試飲して、値段をつけなければなりません。味のほかに得られる情報ただひとつ、出産国だけ。

困りました。どうやって値段をつければいいのでしょうか?

 

ミネソタ大学らの研究(1)では、619人を対象にこんな実験を行いました。

  • 香港の被験者たちに、生産国の違う6つのワインを飲んでもらう
  • 元の値段は$15~$20だが、被験者には伏せられている
  • 試飲した後、いくらまでなら払えるか尋ねる

その結果、悩んだ参加者らは全てのワインに同じような値段をつけたそうです。ワインはどれも似たような味で他の情報がないのですから、当然の判断ですよね。

 

しかし、条件を変えて2回目の実験を行ったところ、驚きの結果が出たそうです。

条件は先ほどと違い、試飲の前に出産国の情報を与えられました。すると、今回参加者たちは、ワインで有名な国には高い値段を、なじみのない国には低い値段をつけたのです。

ワインに馴染みのない国というのは、例えば、イオワやウィスコンシン州出身のワインなど。馴染みのある方は、サウスアフリカやスペインだったとのこと。

 

1回目と違うのは、出産国のあるなしだけ。しかも、たったそれだけで、馴染みのない国には$2.7~$4.8低い金額をつけたそうです。

元々2000円と評価したワインが1500円になる程の差が付いてしまったということになります。

 

「私はワイン通だ。そんな情報に惑わされるか。」という人もいるでしょう。

研究では、さらに調査を進めた結果、この様な出産国の違いが現れるのはワイン初心者のみだったことが分かったそうです。確かに、ワイン通のひとには、出産国の影響はないようですね。

 

なんとも驚きの結果を紹介しましたが、なぜこのような現象が起きてしまったのでしょうか?

なぜ出産国のラベルがあると、売れやすいのか?

出産国があると売れやすくなる理由について、ミネソタ大学らの論文の著者は次のように考えています。

支払意思額の決定に、香港の消費者たちが西洋社会の人たちよりも外部の情報に依存しやすいのは、不確実性の下でのリスク低減行動が理由のひとつだと考えられる。

まず、香港の人たちは、西洋社会の人たちよりもワインに馴染みがないということを前提に理解してください。

実験では、ワイン初心者のみに出産国の影響が表れていましたよね。著者の主張では、ここに注目しています。

どうやって値段を付ければいいか分からないという不確実性の高い状況では、知識のない人は間違った行動を減らすために、出産国のようなそのものの価値を示す外部の情報に頼ってしまうということです

分かりやすい例でいえば、「どのリンゴもおいしそうに見えるけど、違いが分からない。これ青森県産って書いてある。青森ってリンゴで有名だったな。これにしよ。」という感じ。

この失敗したくないという傾向がワイン初心者に表れて、値段のつけ方に違いをもたらしたのです

 

まとめ

つまりこれらの研究結果から分かることは、

  • 知識のない消費者は、出産国を頼りに飲食の商品を買うことがある

ということです。

~産という表示は、どれを買ったらいいのか分からない消費者に対して、安心材料を提供しているということになります。

北海道産だから美味しいに違いない、青森県産だから甘いに違いない、事前情報がない場合には、その様な情報が購買の一押しに役立つのです。