心理の棚

心理学の論文や書籍から得た知識をシェアしていきます。当ブログでは、心理学の知識を学べるでしょう。

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ADHDになりやすいのは、早生まれの子どもという研究結果

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日本の子どもは4、5歳で年長になりますが、アメリカでは6歳で年長になる子もいます。アメリカでの年長は、キンダーガーデンといって義務教育が始まったり、1年遅れて入れたりするという特徴があるそうです。

早生まれで、遅生まれの子よりも学力に自信がないといった場合に、時期を遅らせて入園させる親もいるのだとか。日本よりも柔軟な制度となっています。

しかし中には、早生まれでも遅生まれの子と同じ学年に入園させる親もいます。

新しい研究では、その子どもたちは意外なリスクを抱えるのだそうです。ハーバードメディカルスクールらの研究から、そのリスクについてお伝えしていきます。

 

 

早生まれは間違った診断をされるかも

1月~3月の子は、4月、5月の子と比べてADHDではないかと疑われやすいのだそうです。

早生まれの子が遅生まれの子よりも、落ち着きがないのはよくあること。その行動を見た親や、教師が誤って判断を下すことがあるのです。

ハーバードメディカルスクールらの研究論文(1)の著者は、早生まれの方がADHDだと診断されやすいのではないかと推測しています。

同学年の子どもたちの中で、より幼い子の方がADHDだと診断されやすい可能性がある。その理由は、発達的に決定される不注意な行動が幼さよりもADHDに要因があるとされてしまうからだ。

4月生まれと3月生まれで、発達の具合に差があるのは当然のこと。しかし、同じ学年という枠の中で子どもの行動を見たとき、不注意な行動の原因が生まれ年のせいだと見なされづらいのかもしれません。

 

膨大なデータから見えたADHDの診断

実際に推測を確かめるべく、研究チームが膨大なデータを分析したところ、4月生まれよりも3月生まれの方がADHDと診断されやすいことが分かりました。

同学年の子どもにも関わらず、診断数の差はなんと、1万人中21.5人をも上回ったとのことです。

 

研究では、アメリカの4~7歳までの407,806人を対象としたデータを集めて分析。データには、ADHDの診断結果、治療暦、投薬の有無、その他の病歴が含まれていました。

その膨大なデータから分かったのは、8月生まれで早くキンダーガーデンに入った子どものADHD診断数は1万人中85.1人であり、9月生まれでは63.6人ということでした。

 

アメリカにおける早生まれは8月です。早生まれと遅生まれで21.5人の差がついたことになります。

ADHDのための投薬、治療暦も同様に、早生まれの方が確率が高いという結果も出ています。

 

注目されるポイントは、1ヵ月毎の生まれ年の差が統計的な有意になかったということ。7月や8月には差がなく、8月と9月といった1年ほど生まれ年に違いある時にのみ、ADHDの診断確率が上がったのです。

その他の糖尿病や肥満といった病歴の差は、生まれ年の間の差はなかったそうです。この分析結果がADHDに特有であることを示しています。

 

診断されやすい理由は分かっていない

早生まれの方が発達していないから、という当初の推測は、今回の研究では支持されませんでした。

論文の著者曰く、

私たちは、子どもたちのADHD診断の妥当性や治療に関連することについて明らかにできなかった。このため、私たちは、9月よりも8月に生まれた子どもたちのADHDが過診断されていると結論付けられなかった。

とのこと。

親や教師の間違った判断が原因だとはいえず、ADHDが診断されやすい理由は分からないようです。

今のところいえるのは、早生まれと遅生まれの子が一緒の学年になると、早生まれの子のADHDになる確率が高いということ。

原因究明のためにも、今後のさらなる研究が期待されるでしょう。

 

まとめ

アメリカでは、早生まれの子を1年遅らせてキンダーガーデンに入れると、ADHDの確率は低かったそうです。親の中には、遅生まれの子たちと一緒に学ばせることで、学習効率が上がることを期待している方もいるでしょう。しかし、逆に思わぬリスクにさらされる可能性があることも考慮しなければなりません。

日本では学年を1つ遅らせて入れることが出来ないので、アメリカよりも診断確率が高くなる可能性が否定できません。もしもADHDだと疑われる場合は、早めに気づいてあげ、その子の個性だと認めてあげることが望ましいです。