心理の棚

心理学の論文や書籍から得た知識をシェアしていきます。当ブログでは、心理学の知識が得られるでしょう。

20181114133451

MENU

IQの低さを補う知性、EIとは?【伸ばし方も紹介】

EI-IQ
知能の高さを表すのはIQだけではありません。それと同等、もしくはそれ以上に重要とされるのがEIという知性です。

IQの値は学生時代にほとんど決まってしまい、後から伸ばすことはほぼ不可能です。しかし、EIなら今からでも伸ばせます。

EIとは何のか?どんなメリットがあるのか?トレーニングの方法は?これから、そのことについてお伝えしていきます。

 

 

EIとは?

EI(Emotional Intelligence)とは、日本語で感情知性といい、EQ(心の知能指数)という名称で広まっています。ジョン・メイヤー博士によると(1)、EIは4つのスキルに分けられるそうです。

  1. Perceiving Emotions(感情の察知)
  2. Using Emotions to Facilitate Thoughts(感情の使用)
  3. Understanding Emotions(感情の理解)
  4. Managing Emotions(感情の管理)

順番に何を意味するのかざっくり紹介します。

  1. 自分や他人の感情を正しく読み取れるか(相手の表情や声から感情を読み取る力)
  2. 感情を使って思考の手助けができるか(例えば、友人が喜びそうなパーティーを考える)
  3. 感情の知識(不安にどんなメリット、デメリットがあるかや、思考と感情の違いなど)
  4. ネガティブな感情をポジティブに変えられるか

簡単にまとめると、感情を理解し、コントロールし、相手の心を揺さぶるにはどうしたらいいか戦略的に考えられるほど、EIは高いといえます。

 

過去の研究(2,3,4)によると、EIが高い人には次のようなメリットがあるそうです。

  • 幸福感が高い
  • 健康
  • 学業成績が優秀
  • 仕事で成果を残す

EIの高さは、社交性や共感力の高さとも関係しているので、対人関係が上手くいきやすいです。その結果か分かりませんが、充実した人間関係からか幸福感が高い傾向にあります。勉強や仕事に関しては、感情を上手くコントロールできることで、やる気や集中力を発揮しやすくなるのでしょう。

 

EIがIQの低さを補う

ローゼンヌ大学の研究(5)では、EIの高さでIQの低さを補えることが分かりました。

今回の結果が示したのは、IQの低い人でもEIさえ高ければ、仕事の面接での評価が高くなるとのことです。

 

研究には116人の学生が参加し、およそ80人の前で自己紹介をするように指示されました。与えられた時間は60秒のみ。彼らは仕事の面接の受験者という設定で、面接官に自己アピールをしたそうです。

面接官役は、学生のなかから選ばれ、受験者のリーダーシップや有能さなどを評価したとのことです。

 

全員の自己紹介が終わり、学生らのEIとIQ、そして性格特性のデータを集めると、意外な結果が表れました。

  • IQとエモーショナリティ(傷つきやすい性格か)が低く、EIの「感情の理解」が高かった学生は、IQが高い人と同程度に面接で高く評価された
  • しかし、エモーショナリティが高い学生は、EIの高さに関係なく面接の評価は低かった
  • IQの高い人は、EIの高さに関係なく面接で高く評価された

エモーショナリティとは、ビッグファイブの神経症傾向に「センチメンタルか」を加えた性格特性のことです。エモーショナリティが高いと、不安を感じやすく傷つきやすいという特徴があります。逆にエモーショナリティが低いと、心が冷たく動揺しづらかったり、不安を感じづらかったり、という特徴があります。

エモーショナリティが高い人はストレスフルな状況に弱いので、EIの高さに関係なく面接で上手くいかなかったそうです。ストレスを感じる場でEIの恩恵が得られるのは、メンタルの強い人だけかもしれません。

 

今回の研究のポイントは、EIの中の「感情の理解」が高いと、面接の評価が高くなったことです。面接で高い評価を得るには、面接官を退屈させないことや、自分の有能さをアピールすることが決め手となります。「感情の理解」が高ければ、どんな言葉で人の心が動かせるのか、どうするれば自分が有能だと感じさせられるのかを理解できているので、面接を有利に進められるというわけです。

 

EIの感情理解を伸ばす方法

EIはトレーニングで伸ばせることがメタアナリシスで分かっています(6)。今回の研究結果のポイントだった「感情理解」を伸ばすなら、小説を読んだり、感情に関する知識を蓄えることが有効です。

たとえば心理学系の本なら、このような本がオススメです。

 

ネガティブ~で紹介されているのは、メンタルの強い人が感情をどう捉えているのかや、ポジティブな感情のデメリットなどです。

幸福になりたい~では、感情に囚われない方法といった実践的な内容や、感情の持続時間などの基礎知識の理解が深まる本となっております。

2冊とも読めば、感情への理解が深まるはずです。2冊も買えないという方は、少なくともネガティブ~の本だけでも読むことをオススメします。

 

「他のEIのスキルを伸ばしたい」という方も「感情の理解」を深めることで、一緒に伸びていきます。感情を理解していなければ、相手の感情を読み取れないですし、どんな言葉が相手に刺さるのか考えることだって出来ません。EIの根底となるのが「感情の理解」なので、まずは重点的にこのスキルを鍛えることが望ましいです。