IQが高い人、算数が得意な人は、社会でも成功しやすいのでしょうか?
複数の研究によれば、算数の能力の低さが給料の低さや失業、さらに昇進の機会の少なさにすら関係していたといいます(1,2,3)。
IQの方は、面接で自分を上手くプレゼンすることができるという結果が出ています。
どちらも経済的な成功を手にするには、不可欠な能力に思えますよね。しかし、新しい研究では、算数を解く能力は必要でないことが分かりました。
ここでいう算数の能力とは、計算のスピードや論理的思考、メンタルローテーションのことをいいます。
経済的な成功を予測するのはあの2つだった
テネシー大学らの研究では、経済的な成功を予測する能力として、IQと算数の能力のどちらが適しているのかを調べました。
すると、算数の能力は将来の富を予測しなかったという結果がました。
研究者曰く、
早産や健康に生まれてきた人たちの富を予測したのは、算数能力ではなく、IQであった。
とのこと。
研究では、8歳時点での子どもの認知能力と算数能力から、将来(26歳時点)の富を予測できるのかを調べました。
富というのは、収入だけでなく、雇用状態にあるか、貧乏かなど、経済的な状態が良いかを点数化して合計したものです。
研究の対象は、ドイツのバイエルン州から集められた193人の早産/低体重で生まれてきた子どもと、217人の健康な子どもたちです。
早産の定義は妊娠32週間未満で生まれたか、低体重は1500g未満で生まれたか、とのこと。
以前より、早産と低体重で生まれた人は、認知能力と算数能力に問題を抱えやすいことが分かっています。
彼らが8歳の時に、IQの値と算数の能力を測定し、今度は26歳になった時に富があるかを尋ねたそうです。
IQの値と算数の能力は、どちらも将来の富を予測しそうな気はしますが、意外な結果が表れました。
26歳時点での富に影響していたのは、2つあったとのことです。IQそれから、早産/低体重でした。
出生時の家族の経済状況に関わらず、早産/低体重で生まれたこと、そしてIQが低いと将来の富も低かったという結果が出ました。一方、算数の能力は、富の予測に関係していないことが分かったそうです。
経済的な成功を手にするのに、算数が得意かは関係しないのです。
ただし、8歳時点での調査なので、中学高校時代に得意だった場合には、結果が違うかもしれません。
今回の結果から、認知能力の高さが経済的な成功を予測する大事な知能であることは分かりましたが、どうやって認知能力を高められるかついては明らかにされていません。
習慣的に運動をする、瞑想をするというのが今の所できることだと思います。
もちろん、IQ以外にも大事な知能(EI)もあるので、そちらを鍛えてみるのもありでしょう。