「不安にならなければもっと上手くやれたのに...」と後悔したことはありませんか?
大勢の前での発表や面接など、大きなプレッシャーのかかる場面で、緊張で実力が発揮できなかったという経験は誰もがあるはず。
そこで今回お伝えするのは、紙とペン、塩を使った不安を減らす儀式についてです。この方法を使えば、不安によるパフォーマンスの低下を防ぎ、あなたの本来の実力を発揮できるようになるでしょう。
不安を減らす儀式の方法
今回お伝えする不安を減らす方法は、5つのステップから成る儀式です。かかる時間は約1分。紙とペン、塩を用意し次のステップを順番に行っていきます。
- 紙に自分の今の気持ちを絵で書く
- 絵に塩を振りかける
- 声に出して5までカウントする
- 紙をくしゃくしゃにまるめる
- 捨てる
絵の書き方なのですが、例えば不安で苦しいと感じていたら、首をおさえているポーズを書いてみるなどでいいと思います。書いたら順番にステップを試していきましょう。
声を出してカウントできない場合は、心の中で唱えてもらって構いません。終了したら、あとは不安な出来事に立ち向かうだけです。
効果の信憑性はすでにハーバードビジネススクールの実験で確認済み。「本当に効果があるの?」と疑問に思う方は、次の研究結果を見れば納得できるでしょう。
直前の儀式が不安減らすという研究結果
ハーバードビジネススクールでは、いくつかの実験(1)を行って、儀式が不安を減らせることを明らかにしました。
実験1
被験者数85人、儀式をするグループと何もしないグループの2つにランダムに分け、次のようなデザインで実験を行っています。
- 被験者にこれから歌唱テストをすると告げる
- 儀式グループは、歌の前に5つのステップから成る儀式を行ってもらう
- 何もしないグループは、歌の前にただ座らせておく
- 実験者の目の前でカラオケで歌を歌い、採点結果を記録
歌を歌うことを告げられた時、ほとんどの被験者が強く不安を感じたそう。しかし、歌唱前に儀式を行ったグループは、そうじゃなかったんだとか。
この実験の結果では、
- 儀式グループは何もしないグループよりも40パーセントほど不安が少なかった
- 儀式グループの歌唱の成績は、何もしないグループより高かった。
とのこと。
ただ直前に儀式を行っただけで、不安が減り、上手く歌えるようになっていたのです。
実験2
さらに、もうひとつの実験では心拍数に注目し、儀式の効果について詳しく調べています。
今度は被験者数167人。彼らを儀式グループ、リラックスグループ、何もしないグループの3つにランダムに分け、実験を行っています。
儀式と何もしないグループは先ほどと同様のことをし、リラックスグループには「リラックスすることにベストを尽くしてください。」と告げたそう。その後、最小6人からなるグループの前で歌唱テストを行わせたようです。テストの最中には、小型の装置で心拍数を計測したとのこと。
さて、結果はというと、
- 儀式グループは他のグループと比べて3も心拍数が低く、不安も低かった
- 儀式グループは、歌の成績が一番良かった
といった感じに。
儀式は単に不安を減らすだけでなく、胸のドキドキまで減らしてくれるという素晴らしい効果が確認されました。
もう少し手軽に出来る方法
実験では塩を使って儀式を行っていましたが、建物の中でやると掃除が大変になってしまうという欠点があります。
ということで、手軽に出来ないか調べたところ、論文の著者がこんな記述をしているのを見つけました。
これらの結果が示すのは、ジェスチャーの象徴的枠組みがパフォーマンスを向上させるということ。
単にいくつかのスッテプを踏めばいいのではなく、儀式のステップを行うことのみがパフォーマンスを向上させるのだ。
どういうことかと言うと、無意味な行動はダメだけど、実際に不安を消している感覚が得られるようなジェスチャーであればよいということです。
例えば、塩を振りかける部分をなくし、
- 紙に感情を書く
- 5つカウント
- ぐしゃぐしゃに丸める
- 捨てる
だけでも良いのです。
この方法であれば、どこでも手軽に出来るかと思います。是非、試してみてください。
まとめ
不安な出来事の直前に、短い儀式を行えば不安は減り、パフォーマンスは上がります。
紹介した論文には別の実験も載っていて、数学のテスト前に行っても効果があったようです。
大事なことの前にいつも不安や緊張がやってくるという方は、実践してみると本番で実力を発揮できるようになるかもしれませんよ。