心理の棚

心理学の論文や書籍から得た知識をシェアしていきます。当ブログでは、心理学の知識が得られるでしょう。

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なぜ本当の自分を隠すと生きづらいのか?【心理的なデメリットとは】

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内向的な性格なのに外交的に振舞ったり、大して好きでもない人と一緒に遊んだりして、疲れてしまうことはありませんか?

社交的な自分を演じているつもりなのに、人間関係からは一切幸福を感じられない...。せっかく友だちができても、一緒にいても楽しくない。これらの現象はなぜ起こるのでしょうか?

そのヒントは、「本当の自分を隠している」ところにあります。孤独、内向性、社交不安に関する研究から、「本当の自分を隠すこと」と「本当の自分でいること」の心理的なメリット、デメリットを見ていきましょう。

 

 

本当の自分を隠すと孤独に

本当の自分を隠して人に合わせようとしたり、嫌々人付き合いをしていたりすると、孤独を感じるようになります。どこか他人とは心が通じ合わないなと思うようになるのです。

孤独感は1人ボッチの人にだけ訪れるのではありません。人間関係の質が悪い人にも訪れます。

シカゴ大学の孤独に関する研究論文(1)を読んでいたところ、孤独の特徴がこのように書かれていました。

人間は、単に人の存在があればいいという訳ではない。自分を大切にし、信頼でき、コミュニケーションが取れ、一緒に生き残るための計画や協同、… ができる人間を必要とするのである。

その結果、個人は、人の群れの中にいようと孤独を感じるのだろう。

つまり、自分のことを理解してくれる人と付き合わないと孤独を感じるということです。

自分の気持ちを理解してくれて、ありのままの自分を受け入れてくれる人と一緒にいないと、孤独になります。

孤独を感じることのデメリットには、体の不調やメンタルの悪化があります。風邪を引きやすくなりますし、うつや不安だって大きくなります。

心身を健康に保つためにも、自分を偽って、皆にいい顔をしようするのは止めるべきなのです。

 

内向的な人が外交的に振舞った結果

自分の性格を曲げてまで、社交的に振舞おうとする人がいます。友人の数が多いほうが楽しそうな気はしますし、暗い人よりも明るい人の方が幸せに生きられそうな気はします。しかし、本当に自分の性格を曲げることで幸せになれるのでしょか?

メルンボルン大学らの研究(2)では、147人の参加者を集めて、外向性に関するある実験を行いました。実験では、ランダムに参加者を3つのグループに分けて、5日間それぞれの役割を意識して過ごすように指示しています。

  1. 外交的に振舞うグループ
  2. 謙虚に振舞うグループ
  3. なにもしないグループ

5日間が過ぎ、彼らの気分やストレスを尋ねると、参加者たちは全体的にポジティブな感情が高まったことが分かりました。

この結果から、研究者は、外交的に振舞うとポジティブになると結論付けました。しかし、詳しく結果を分析して見ると、意外な事実も明らかとなったそうです。

なんと、内向的な人は、外交的に振舞う自分を「本当の自分でないと感じた」と報告し、疲労感やネガティブな感情が高まっていました。

内向的な人が外交的な自分を演じると、「自分を否定している」ような感覚が生まれ、ネガティブになっていくのです。

この研究から、無理に自分の性格を変えようとすると、心に負担が掛かることが分かります。

別の外交性を研究した研究者(3)も、内向性を受け入れたほうが幸せに生きられると結論付けています。

本当の自分を否定せず、受け入れることが、幸福に生きるためには不可欠なのかもしれません。

 

「本当の自分」を表にだすことのメリット

本当の自分を全く出せない人といえば、社交不安障害の人たちです。

社交不安障害とは、人との関わりや、自分のことを評価される場面で過剰な恐怖を感じたり、体験を回避したりする人のことをいいます。

私も何年間も社交不安でしたが、社交不安の人は、他の人からネガティブなイメージを持たれるのが怖くて、人と接しないようにします。または、不安を感じていないふりをして人と接します。

つまり、本当の自分を隠して、人付き合いに望むのです。

 

そんな社交不安の人たちでも、「弱さをさらけ出す」ことを心がけながらコミュニケーションに望めば、思わぬメリットが得られるとブリティッシュコロンビア大学の研究者はいいます(4)。

研究では、社交不安障害と診断された72人の参加者を集め、コミュニケーションに関する実験を行いました。

はじめに、彼らは他人と知り合いになるという目的で、実験を手伝っている学生と5分間の会話をします。「趣味はなに?出身は?」といった、初対面の人がする会話を行うのです。

5分間が過ぎると、参加者たちは、次の2グループに分けられます。

  1. もう一度5分間話すグループ
  2. もう一度5分間話すが、「自分の弱みを隠さないように」話すグループ

そして2回目の会話が終わると、彼らに気分や会話へのモチベーションを尋ねたそうです。すると、両グループの間ではっきりとした違いが表れました。

「自分の弱みを隠さないように」会話したグループの方が、

  • 自分らしさを感じられた
  • もっと人と関わりたいと思うようになった

と報告したのです。

自分を隠さないでコミュニケーションを行うことを怖いと思っていた人たちが、「本当の自分を表に出そう」と心がけただけで、コミュニケーションに積極的になったのです。

過剰な不安を感じる人たちですら、自分を偽らないことで心が楽になりました。「本当の自分」でいた方が、コミュニケーションの負担が軽くなるのです。

 

本当の自分を受け入れることから始めてみよう

ここまでお伝えしてきたことをまとめるとこんな感じです。

  • 自分を偽って人と付き合うと、孤独を感じる
  • 性格を曲げて外交的に振舞うと、ネガティブになる
  • 弱みを隠さないように心がければ、コミュニケーションに積極的になれる

自分を偽ることの負担の大きさや、本当の自分でいることの良さが分かると思います。しかし、中には、これだけ見ても「やっぱり素の自分を見せるのは怖い」という方がいるでしょう。

そういう方にオススメなのが、セルフコンパッションです。

セルフコンパッションとは、自分や他人に優しくする、誰もが失敗するということを認める、目の前のことに集中するという、3つの要素で成り立っている心理学のテクニックのことです。セルフコンパッションを身につけたことで、完璧主義が治ったり、うつの再発が防げたりという研究結果が報告されています。完璧でない自分を受け入れられるだけでなく、メンタルの不調も治るのです。本当の自分を隠さないで生きたいという方に、ぴったりな方法といえるでしょう。是非、試してみてください。