過去の心理学研究の中には、たった1つの質問をするだけで健康リスクを予測できるというものがあります。それもシンプルに「あなたの脳は若いですか?」と聞くだけです。この質問をするだけで、その人が糖尿病になりやすいかなど健康状態を予測できてしまうのです。
さらに、最近出た論文では、このシンプルな質問がfMRIを使った実際の脳の年齢と近くなるということが分かったそう。なかなかに面白い実験だったので、今回はこの「脳の若さを調べる質問」についてお伝えします。
たった1つの質問でここまで分かる
2018年に出た論文(1)では、脳年齢を予想してもらうだけで実際の脳年齢と将来の認知能力を予測できるということを明かしました。この研究はソウル大学校で行われたものでして、68人の男女に実験を行ったそうです。
実験のデザインはこんな感じ。
- 被験者に脳の年齢を予想してもらう
- fMRIで実際の脳の年齢を調べる
- 認知テストで認知能力を調べる
- 結果を比較
ちなみに脳の年齢を予想してもらう時の聞き方は、「あなたの脳年齢は、あなたの年齢と比べてどの様に感じますか?」といった感じで聞いたそう。この質問に対して、被験者は「若い」、「同じくらい」、「もっと年とってる」みたいに答えさせるんですね。例えば私がこの質問に答えるとしたら、今21歳なので、だいたい脳は18歳くらいだと予想して、「若い」と答えるでしょう。
本当にこれだけで本当の脳年齢が分かるのかな?と疑問に思うところですが、実際にfMRIで測った脳年齢と認知能力の高さを予測できたとのこと。
結果はというと、
- 年齢よりも脳の方が老いてると答えた人ほど、教育を受けた年数が少なかった、ワーキングメモリー能力が低かった、健康でなかった、うつになりやすかった
- 脳が若いと答えた人は脳の灰白質のボリュームが大きかった
といった感じに。
ちなみに脳の灰白質というのは、記憶力の高さに関わってる脳の部位です。ここが小さくなってしまうと、認知症になるなどなどの問題が出てきてしまいます。
もし、この質問を誰かに投げかけてみて、「年齢より脳が老けている」と答えた人がいたら、運動や健康的な食事を勧めた方がよろしいかと思います。
さて、今回の研究結果を受けて著者曰く、
主観的な脳年齢は灰白質のボリュームの減少と脳の年齢の予測に同じくらい関係していた。私達の結果は、主観的に若いと感じている人が健康的な脳を保つ一方で、実年齢より主観的に老いていると感じていると、より早く脳が老いるかもしれないということを示している。
とのことで、「脳が老いている」と感じた人は、脳が老いるスピードも早くなってしまうそうです。
まとめ
脳年齢を知る質問の方法は、「年齢と比べて脳の年齢は若いと思うか?」と聞くことです。これに対して、「若い」と答えることが出来れば、まず安心。問題なのは「老いている」と答えた人です。
私は母にこの質問をしてみたのですが、「年齢よりだいぶ上」と答えて心配になりました。皆さんも是非、身近な人または自分にこの質問を投げかけてみて、脳の状態を確認してみてはいかがですか?もしも、私の母のような答えが返ってきたら、生活を見直すように説得するといいかもしれませんね。