「運動をすれば頭が良くなる」というのはよく聞く話。少し体を動かすだけでも、集中力が回復したりメンタルが整ったりします。
しかし、どのくらい体を動かしたら良いの分からない人がいるかもしれません。つらいランニングや高負荷の筋トレをしないと、実感できるほどの効果は得られないのでしょうか。
新しい研究によると、軽い運動でも脳を大きく出来るそうです。1日1万歩もしくは、いつもより1時間ほど軽く体を動かすだけで良いかもしれません。
新しい研究結果が JAMA Network Open に掲載されています。
運動量と脳のボリュームとの関係を分析
研究を行ったのは、Boston University School of Medicineと the Framingham Heart Studyで、運動が脳のボリュームに与える影響を調べています。
研究には2354人が参加し、4年間に渡って1日の歩数と運動強度、長さ、そしてMRIで脳のボリュームを調べています。運動量に関しては、腰にベルトのデバイスをつけて測定したようです。そして得られたデータと脳のボリュームとの関係を分析しました。
1万歩以上で脳が大きく
研究の結果、1日1万歩以上歩いていた参加者らは、5000以下の人たちに比べて脳が大きいことが判明しました。
さらに、低強度の運動が1時間増えるごとに、脳の老いが約1.1歳分抑えられていたことも分かっています。これが意味するのは、認知症のリスクが減るかもしれないということです。
今回の結果に対し研究者は、
アメリカ合衆国保険福祉省のガイドラインを満たしていない参加者でさえ、低強度運動が1時間増えるごとに、脳が大きくなっていた。これらのデータは、より達成しやすい運動強度と長さで脳の老いに潜在的な利益があるという意見と一致している。
とのこと。
アメリカ合衆国保険福祉省のガイドラインでは、健康を保つために必要な運動時間を週に約150分、運動強度は中程度と記載していました。しかし、今回の結果では、それよりも簡単な運動で脳を大きくさせられることが分かったのです。
1日一万歩もしくは1時間いつもより軽く体を動かすだけで、若い脳を保てるかもしれません。また、研究結果によると、1日7500歩以上歩くだけでも、1.4歳から2.2歳分の脳の老いを抑えられていることが分かっています。この運動量なら、実行しやすいのではないでしょうか。
中/高強度の運動が役に立つのかは分かっていない
心臓がバクバクして立っていられないほどの運動をした場合、それが脳を大きくしてくれるのかは分からないのだそうです。
研究者はいいます。
しかしながら、低強度の運動の影響を取り除いたところ、中/高強度の運動は脳のボリュームと関係していなかった。高強度の運動によって、さらなる利益が得られるのかは未だ不明だということである。
ただ、害はなさそうなので、中程度以上の運動をして気分が良くなったり頭がスッキリしたりするのであれば、それはそれでやる価値があるといえます。
柔軟に運動量を決めて取り組むのが良いでしょう。