今回は、テスト前に不安を感じてしまう人向けのお話です。
不安のせいでテストに集中できず、実力を発揮できなかったことはありませんか?せっかく勉強しても成果が現れないと悔しいですよね。
そこで、これからスタンフォード大学らの研究(1)よりテスト不安の対処法を2つお伝えしていきます。実際に、高校生たちがこの方法を実践したら、不安が減って成績が大きく伸びたそうです。
「もうテスト中に頭真っ白になりたくない」という人に、是非実践していただきたい方法となっています。
テストの不安に上手く対処する方法
スタンフォード大学らは、テストの不安を鎮める方法を研究したそうです。その中で見つかった2つの方法を見ていきましょう。
その名もエクスプレッシブライティングとリアプレイザルです。
スタンフォード大学らが明かしたこと
スタンフォード大学らの研究では、1175人の高校生を対象にある実験を行いました。高校生らは、ランダムに4つのグループに分けられたそうです。
- エクスプレッシブライティンググループ
- リアプレイザルグループ
- 1と2の組み合わせグループ
- コントロール群
コントロール群になった人たちは、テスト中に不安を無視するように指示されました。多くの人がやりがちな不安対策ですね。
そして他の3グループは、10分間のライティングをしました。グループ毎にどんなことを書いたかというと、
- 自分の感情を紙に書き出す
- 不安のメリットを理解し、紙にそのことを書きだす
- 1と2を組み合わせて実行
詳しい方法は後ほど見ていくとしましょう。
さてさて、高校生たちがテスト前に4つの方法を試したところ、効果的な方法が3つ見つかりました。
それは、不安を無視する以外の方法だったそうです。
驚くことに、不安を無視したグループとそれ以外のグループでは、成績に大きな差が付いています。
- 不安無視では、全体の61%がテストの合格点を超えた
- 他の3つでは、全体の82%がテストの合格点を超えた
- 3つの方法に効果の差はなかった
エクスプレッシブライティングと、リアプレイザル、組み合わせでライティングをした人たちの方が明らかに成績がよかったのです。1グループあたり大体300人ほどがいたので、900人ほどのグループで効果を実感したことになります。かなり強力ですよね。
さらに今回の研究では、家庭が低所得な人たちほど成績が伸びていたことも分かりました。
彼らは、家庭での教育が満足に得られていないことで、テストができるか強い不安を感じていました。「私の親が稼げない人だから、私も有能じゃないんだ」と思い込んでいたそうです。彼らは、勉強をしていないわけではありません。この無力感のようなものが、テストへの不安を悪化させ、今までテストで実力が発揮できなかったそうなのです。しかし、今回3つの方法を試したところ、不安に強いメンタルとなりテストで実力が発揮されました。
不安になると、実力を出せないという思い込みの強いひとでも、これら3つの方法は有効に働くということです。
エクスプレッシブライティングとリアプレザイルでテスト不安を鎮められかもしれませんね。
実践の方法
お待たせしました。研究で効果のあった2つの方法のやり方をお伝えしていきます。
まずはエクスプレッシブライティングからです。
エクスプレッシブライティング
やり方はこちらです。
- 紙とペンを用意します
- ペンを握って、ひたすら頭に浮かぶ言葉を紙に書き出します
- 文法は気にしないこと
- ペンが止まったら、「止まっちゃった」と続けて書きましょう
- 10分くらい書き出したら終了です
タイマーを用意して書くのがベストですが、テスト前だと難しいですよね。その場合は、5行くらい書こうというように、行数を決めちゃってください。時間を気にせずに没頭して書く方が効果的なので、どこまで書くか決めた方がいいです。時間や到達点を決めたら、あとは文法は気にせず、ぐっちゃぐちゃに書いちゃいましょう。
ちなみに、エクスプレッシブライティングが不安に効果的な理由は、頭の中に余裕が生まれるからです。
不安になると、頭の中がイメージや言葉で一杯になりますよね。すると、他のことを考える余裕がなくなって、集中力ががっつり減ってしまいます。
しかし、エクスプレッシブライティングで、頭の中に溜まった言葉を掃きだすと、頭に余裕が生まれます。人に愚痴るとスッキリするというのと同じような効果があるのです。そのおかげで、集中力が取り戻せて、いつも通りの実力が発揮できるようになるのです。
エクスプレッシブライティングは、他にも頭の回転を上げさせる効果もあるので、非常に効果的だと思います。
リアプレイザル
リアプレイザルは、感情の再評価という意味です。やり方は、不安やストレスのメリットを考えて紙に書き出していきます。
- 不安やストレスが役にたった体験を紙に書く
- 不安やストレスがテストにどう役立つか書く
- 浮かばない時は、本から得た情報を書く
たったこれだけです。
たとえば、「不安がなかったら、テストをしていなかった」や、「ストレスがある方が、交感神経が高まって集中力が増す」ということを書きます。
このように、不安やストレスの捉え方を変えるのがリアプレイザルの方法です。
不安のメリットが分からない方は、こちらのエントリーを読むと良いと思います。
不安の強い医学生の方が実力が上?不安を強みへと変えるには - 心理の棚
あらかじめ紙にメリットを書いておいて、テスト前に見直すのもいいですよ。
リアプレイザルがテスト不安に効果的な理由は、不安を感じても上手くやれるという感覚が得られるからです。例えば、勉強を嫌々やっている時よりも、勉強が将来の役に立つと思っている時の方がモチベーションが上がりますよね。それと同じで、「不安は悪だ」といよりも「不安だからこそテストの結果が良くなる」と思い込むことで、テスト中の集中力ややる気がアップするのです。
ただ、リアプレイザルは、不安が役に立つと信じ込めないと効果があまりないので、重度の不安症の人の場合は、エクスプレッシブライティングのほうが実践しやすくて効果的だと思います。
どちらも効果的な方法なので、試してみてはいかかでしょう?
まとめ
テスト前の不安で頭が真っ白になりたくない人は、エクスプレッシブライティングとリアプレザイルで対処しましょう。
テスト前に毎回書く用のノートを作っておくことをオススメします。不安を感じたら、すぐに感情を紙に書きだし、頭のなかをスッキリさせましょう。
きっと、勉強してきた成果が十分に発揮できるはずです。