運動は気分をリフレッシュしてくれるだけでなく、認知能力も高めてくれます。
過去の研究から、運動でワーキングメモリが向上することが分かっていたものの、記憶力に効果的なのかは明らかにされていませんでした。
そこで新しい研究では、記憶と運動との関係を調べたところ、30分の中程度の運動で記憶に関係する脳の部位が活性化することが分かったそうです。
新しい研究結果が International Neuropsychological Society に掲載されています。
30分の運動が記憶力をアップさせた
メリーランド大学の研究では、55~85歳の男女26人を集め、運動が記憶力に与える影響を調べています。
どんな実験が行われたかと言うと、
- 実験一日目は、30分の中程度の運動(サイクリング)をしたあと、記憶テストを行った。
- 実験二日目は、30分座ったあとに記憶テストを行った
テストの内容は、有名人の名前と一般の人の名前を区別するというもので、記憶から知識を引っ張り出す能力の高さを調べたそうです。
その結果、1日目の方がテスト成績が高かったことが分かりました。つまり、30分の中程度の運動で記憶力が高まっていたということです。さらに、運動後にfMRIで脳の状態を調べたところ、記憶に関係する部位が活性化していたことが観察されました。紡錘常回、中側頭回、下側頭回、中前頭回、そして海馬が活性化したとのことです。
たった1回の短い運動でも、記憶力を上げられるかもしれないことが示唆されました。
効率的に記憶から知識を引っ張り出せるようになるかも
今回の研究結果から、実験を行った研究者は「運動でより効率的に記憶にアクセスできるようになるかもしれない」というようなことを言っています。
学生の人はテスト前に中程度の運動をしておくと、スムーズに記憶から知識を呼び出せるようになるかもしれません。
ちなみに、中程度の運動というのは「しゃべるのが難しい」と感じるくらいのレベルです。
研究者によると、低負荷、高負荷のトレーニングでは効果が薄くなる可能性があるとのことなので、強度に気をつけて運動しましょう。
運動後には、頭から知識がするすると出てくるようになるかもしれません。