「目を見て話せないなら、目の少し上を見て話そう」
会話中に目を合わすのが怖い、恥ずかしいという人に与えられるよくあるアドバイスです。しかし、このアドバイスに科学的根拠はあるのでしょうか?
頭付近を見て話していたら、相手に違和感を与えてしまわないのでしょうか?
エディスコーワン大学の研究では、アイコンタンクトの幻想について調べてくれています。
思っているよりも目を見て話さなくても問題ない
友人や恋人との食事中の場面を思い浮かべてみてください。相手の目だけを見て話していますか?
恐らく、口元に視線が向かうと思います。私たちは想像以上に、常に目を見るのではなく頭や口元を見て話しているのです。
しかし、相手が自分の口を見て話そうと頭を見て話そうと、そのことを気にしたことは無いはず。「目を見て」とは思わないでしょう。
なので意外にも相手の目を見て話さなくても違和感はありません。
実際、エディスコーワン大学の研究では、顔のどこかを見ていれば相手に目を合わせていると錯覚させられることを明かしています。
エディスコーワン大学の研究結果
研究者らは、46人の学生を集めてアイコンタクトの実験を行いました。
実験では、研究者と学生が1対1で4分間の会話をします。2人とも顔には相手の目の動きを追うメガネをつけ、会話に臨みました。
半分の会話では研究者が学生の目を見て話し、もう半分では口元を見て話をしたそうです。
会話が終了すると、学生たちに会話に対する印象を聞きました。
その結果、どちらの話し方をされても違いが見られなかったとのことです。目を見て話しても口を見て話しても、同じくらい楽しかったと報告したのです。
たとえ目をあわさずに会話をしても相手が気分を害することはないのかもしれません。
さらにエディスコーワン大学は、追加の実験も行ったところ、こんな結果が出たそうです。
- 相手が顔のどこを見て話しているかを当てられる確率は、約54%だった
- 顔のどこを見ているか分からない時には、「相手は目を見て話している」と判断していた
ということで、私たちは人が目を見て話をしているのか、それとも別の顔の箇所を見ているかに敏感でないことが分かりました。
人の目を見て話せないのなら、口や頭の付近を見て話すだけで十分なのです。そうすれば、相手はアイコンタクトをしているという幻想を抱くはず。実践しやすいのではないでしょうか?