難しいことに挑戦したい。そんな時に使える戦略が4つあります。
ダイエットや、運動を始める、外国語の習得など、一見難しそうな挑戦もこれら4つを使えば、成功率はぐっと高まるはず。
失敗しがちな戦略もお伝えするので、過去に使ったことがないか確かめてみましょう。
難しいことへの挑戦に役立つ戦略
チューリッヒ大学の研究(1)では、予備試験と本試験を行って、難しいことに挑戦するときに有効な戦略を明らかにしました。
ここでいう難しい挑戦とは、退屈なこと、メンタル的にきついこと、身体への負荷が大きいこと等をいいます。筋トレ、勉強、上司へのミスの報告などが当てはまるでしょう。
それでは、チューリッヒ大学の予備試験からお伝えしていきます。
予備試験では、794名の参加者らに次のような質問を行ったそうです。「難しいことに挑戦するときに使っている戦略は何ですか?」
すると、全てで1940の戦略が返ってきました。研究者らは、この大量の戦略をまとめて、最終的に19個の戦略に絞っています。
- 行動自体を変える(ゆっくり走るなど)
- 環境を変える(カフェで勉強など)
- 障害を減らす
- 仲間を探す
- 薬を使う
- タスクを増やす(音楽を聴きながら運動するなど)
- プロセスに集中する
- 気を逸らす(筋トレしながら、夕飯のメニューを考えるなど)
- 報酬を想像する
- ネガティブな結果を想像する
- ポジティブな結果を想像する
- ゴールを設定する
- 進捗管理
- 計画を立てる
- リアプレイザル
- セルフトーク
- もうすぐで目標が達成されると考える
- やめたい衝動を抑える
- 感情制御
この段階ではまだ、どれが難しいことへの挑戦に役立つのか分かっていません。そこで本試験では、264名の実験の参加者たちにセルフコントロール能力の高さとどの戦略が目標達成に有効だったかを尋ねました。
参加者たちは、7日間にわたって、1日14時間のうち7回のメールを受信します。そのメールには、「過去1時間に取り組んだ難しいことを教えてください。どんな戦略を用いましたか?達成できましたか?」ということが書かれていたそうです。
さて、7日が経ち、研究者が集めたメールの内容を分析した結果、4つの戦略が難しい挑戦に有効なことが明らかとなりました。
- ポジティブな結果を想像する
- 感情制御
この2つは、セルフコントロール能力が高いひとが頻繁に使っていた方法で、実際にこの戦略を用いている人たちは、目標を達成しやすかったという結果が出ています。
残り2つは、
- もうすぐで目標が達成されると考える
- 進捗管理
でした。
これらは、セルフコントロールの高いひとも低いひとも目標を達成していた人に使われた戦略です。
順番にどうやって実践するのか見ていきましょう。
- ポジティブな結果を想像する:目標が達成されたらどんなポジティブなことがおきるか想像する
(例…英語が喋れるようになったら、海外で働ける)
- 感情制御:気分を改善する。例えば、課題の前に運動をしたり瞑想をしたり
(例...勉強前に家の周りを5分くらい歩いてくる)
- もうすぐで目標が達成されると考える:もうすぐで終わると考える
(例…あと200単語で1000単語覚えたことになる)
- 進捗管理:自分が今ゴールまでどれくらいの距離にいるのか記録する
(例…日常会話くらいの英語はできるようになった)
特に、「進捗管理」戦略は、メンタル的にきつい挑戦に向くことが同研究で分かっています。積極的に使って生きたいのがこの戦略です。
4つとも有効に働くといっても、1つ注意しておきたい戦略があります。それは、「ポジティブな結果を想像する」です。研究結果には、「ポジティブな結果を想像」すると、身体的につらいタスクでは、効果が無いことが示されています。
この戦略を用いる際には、目標達成の障害となるものを考えておくことをオススメします。詳しくは、メンタルコントラスティングというテクニックをご覧になってください(ネット上に情報が多くあるので、このブログでは説明を省きます)。
そしてやってはいけない戦略も明らかになっています。
それは、
- 気を逸らす
ことです。
音楽を聴きながら勉強したり運動したりはアウトということです。多くの人が取りがちな戦略ではないでしょうか?痛みや辛さから逃げるような戦略は、難しいことへの挑戦を失敗させてしまうのです。
まとめ
難しいことに挑戦する際には、「ポジティブな結果を想像する」「感情制御」「もうすぐで目標が達成されると考える」「進捗管理」の4つを使いましょう。どの戦略もシンプルで使いやすいので、是非試してみてください。
Doing Despite Disliking: Self‐regulatory Strategies in Everyday Aversive Activities