嫌味を言ってくる、無視される、仕事の邪魔をしてくる、職場内での嫌がらせは珍しくありません。
ポートランド大学とイリノイ大学の新しい研究によると、嫌がらせの心理的な被害は、被害者だけでなく、そのパートナーにまで及ぶそうです。研究結果には、2人とも睡眠の質が低下することが示されていました。
Occupational Health Scienceに掲載された論文(1)から、その事実をお伝えしていきます。
パートナーの睡眠の質にまで影響する
ポートランド大学とイリノイ大学の研究では、職場内での嫌がらせとカップルの睡眠の質について調べています。
調査には305人のカップルが参加し、4つの質問に答えました。
- 職場内での嫌がらせの程度
- 反芻思考の頻度
- 睡眠の質
- カップルの職業
反芻思考とは、頭の中で同じ思考が繰り返されることをいい、うつ病の原因のひとつとして知られています。
さて、研究者が集まったデータを解析すると、職場内での嫌がらせはカップル2人の睡眠に悪影響を及ぼしていました。
詳しい結果はというと、
- 本人は職場内での嫌がらせにより、家庭内での反芻思考が増えていた
- その反芻思考が睡眠の質にネガティブな影響を及ぼしている
- 本人の反芻思考がパートナーの睡眠の質にネガティブに影響した
- ただし、パートナーへの影響は、2人とも職場または仕事が同じときのみだった
とのこと。
今回の結果から、同じ職場または仕事をしているカップルは、どちらか一方の職場内での嫌がらせにより、睡眠の質が低下することが分かりました。
研究者は、特定のカップルにのみ影響が見られた原因について、次のような主張をしています。
パートナーとの仕事の繋がりは、次のようなプロセスを促進するのかもしれない。(パートナーの仕事の役割りを深く理解する、強く共感する、仕事の経験を共有する)
それらが不安や反芻思考と関連付けられるパートナーのストレス反応を引き出す。この反応がパートナーの睡眠問題を引き起こすのだ。
同じ仕事をしているからこそ、自分事のようにパートナーの心の痛みが強く伝わってしまうのです。その結果、2人とも睡眠が悪化するとのことです。
メンタルケアをしっかりと
もしも現在、職場の環境が悪いのなら、自分やパートナーの生活を充実させるためにも職場を去るのが最善の選択肢です。が、そう簡単に去れない人もいるはず。そんなときには、メンタルケアをすることが望ましいと論文の著者はいいます。
職場から帰ったら瞑想を行ったり、仕事と無関係の好きなことに打ち込んだりして、気分をリセットすると良いのだそうです。