親の感情的なサポートが得られないまま大人になると、不眠症を訴えやすくなることがわかりました。
愛に飢えた子供は、夜遅くまで眠れなくなってしまうそうなのです。
新しい研究結果が Frontiers in Psychiatry に掲載されています。
感情的ネグレクトで不眠症リスクが高まるかも
親の放任や無視によって、子が愛情を受けられないことを「感情的ネグレクト」といいます。
愛を知らぬまま育てば、メンタルの悪化に悩まされることは明らか。過去の研究によると、感情的ネグレクトと将来のうつの発症リスクに強い関係があったとのこと。
そして今回のピッツバーグ大学らの研究では、子供のトラウマと不眠の関係を分析しています。
ここでいう不眠とは、眠りに落ちるまでに長い時間がかかる症状と、途中で目が覚める症状を示します。
調査対象となったのは、過去にうつを発症したことのある102人の若者(18-22歳)たち。症状が重かった人から軽かった人まで含まれていました。
まず、専門医が彼らのうつの診断と子供のころのトラウマについてインタビューを行いました。
「親から身体的な虐待を受けていたか?無視されていたか?」等の質問をし、直近のストレスや不安、デモグラフィック変数なども尋ねたそうです。
また、2週間に渡って、うつと不眠症の日記をつけるように指示しました。
調査が終了し、得られたデータを分析すると、うつや不安、ストレスに関係なく感情的ネグレクトのみ不眠症を予測していたことが分かりました。
さらに、下記も結果に影響しなかったことが明らかになっています。
- 身体的虐待(たたく、蹴る)
- 情緒的虐待(差別、恥をかかせる)
- その他のトラウマ
- デモグラフィック変数
感情的ネグレクトを多く経験した人は、より眠りに落ちにづらく、睡眠状態を維持できなかったのです。
しかしなぜ、この2つが関係していたのでしょうか?
感情的ネグレクトを経験すると、心や身の安全が脅かされているような感覚が身についてしまいます。そのことが原因で夜遅くまで脳が覚醒状態のままになり、眠りづらくなってしまうそうです。
研究者はつぎのようにいいます。
我々の結果は、幼年期の感情的ネグレクトが、若い成人の眠りに落ちるスピード/または睡眠状態を維持することの困難さとに、明確な関係があることを強調している。
気になる不眠症の改善方法ですが、認知行動療法やマインドフルネスが効果的であることを示す論文がいくつか出ています。
これら2つの実践や精神科の受診が治療に役立つことでしょう。