心理の棚

心理学の論文や書籍から得た知識をシェアしていきます。当ブログでは、心理学の知識が得られるでしょう。

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楽しい時間を先延ばしにすれば、仕事や勉強が捗るかも

仕事や勉強を効率良くこなしたいという人は多いでしょう。

中には、SNSを制限したりメールチェックの回数を減らしたりして、集中できる時間を増やそうとした人もいるのではないでしょうか。

しかし、いざ作業に取り掛かろうとしてもやる気が出なかった経験があるはず。これでは、せっかく時間が増えても無為に時間が過ぎてしまうことでしょう。では、どうしたら生産的な一日を過ごせるのでしょうか?

もしかすると、タスクの順番を変えるだけで良いかもしれません。

ペンシルバニア大学の研究結果によれば、楽しいタスクを予定の最後に持ってくると、生産性が高くなるそうです。

研究結果は Academy of Management Journal に掲載されています。

 

楽しいタスクの後は、生産性が下がる

やる気が上がるのは、仕事や勉強自体が楽しい時です。心理学者は、このように心の内側からモチベーションが高まることを「内発的動機づけ」と呼んでいます。反対の概念が「外発的動機づけ」といって、報酬を得たり罰から逃れたりするために作業を行うことを意味するようです。

 

過去の研究では、この内発的動機づけが高いときに、作業の生産性が上がることが実証されてきました。多くの人がゲームを何時間もプレイできるように、楽しいことはモチベーションを高めてくれるということです。

 

しかし、今回のペンシルバニア大学の研究が行われるまでは、内発的動機づけで高まった生産性がいつまで続くのかは明らかにされていませんでした。

楽しいことの後に勉強すれば、より退屈さを感じやすくなるかもしれませんし、逆にモチベーションが高まったおかげでモリモリ勉強できるかもしれません。このどちらが科学的に正しいのか分かっていなかったのです。

 

この疑問を解決するため、アダムグラントらは2つの実験を行いました。

1つ目の実験の舞台は、韓国のデパートです。デパートに勤務する105人の販売員と監督を対象に、ある調査をしました。

販売員の仕事は主に6つ、売ること、商品陳列、アシストなどです。研究者らは、彼らからそれらの作業に対する内発的動機づけの程度を質問したようです。例えば、「その仕事は楽しいか?」というように尋ねています。そして監督の仕事を行う人には、販売員の生産性の高さを評価するように指示しました。

研究者らがそれぞれの質問に対する答えをまとめた後、分析すると、こんな結果が表れたそうです。

  • 内発的動機づけの高い作業の後に低い作業を行うと、生産性が低くなっていた。

つまり、楽しい後に退屈な仕事をした販売員は、やる気がなくなってしまっていたということです。

 

そしてもう一つの実験でも同様のことが確認されました。研究者らは2つ目の実験として、アメリカの255人の大学生を対象に作業をしてもらったそうです。

まず参加者らに伝えられたのは、youtubeから動画を15個見つけるという内容です。

彼らは次の3つの内1つの動画を見つけるように指示されました。

  1. 数学の動画を探す
  2. ライフハックの動画を探す
  3. 楽しい動画を探す

動画を見つけ終えると、今度は楽しいゲームまたはつまらないタスクを行うよう指示されます。つまらないタスクに参加した人たちは、電話帳から名前と番号をコピーしなければなりませんでした。

 

2つの作業が終わると、いくつかの質問が行われ、そのデータを元に研究者らが分析をしました。すると、こんな結果が明らかになったそうです。

  • 1つ目の作業で楽しい動画を探した人たちは、2つめの退屈な作業で生産性が低下した(電話帳からのコピーにミスが目立っていた)本人の不安やストレスレベル、仕事の難しさは関係なかった
  • 2つ目の作業が楽しいゲームだった時、1つ目の作業の種類に関係なくパフォーマンスが高かった

まとめると、楽しい作業の後には、生産性が落ちやすいということです。退屈な作業を終えてから、ご褒美としてゲームをしたり音楽を聞いたりするのが良いといえるでしょう。

また、研究結果には、中程度の内発的動機づけが最も生産性を高めることも記されています。ずっと退屈なことを続けるよりも、合間にほどほどに楽しい作業を入れるのが望ましいです。

 

まとめ

アダムグラントらは、これら2つの実験によって、タスクへの動機づけの高さが後の作業の生産性に影響を及ぼすことを実証しました。

結論としては、楽しい作業を予定の一番最後に持ってくるのが良いということになります。 

ゲームをするなら、勉強を終えた後ということです。

もし、生産性の低さで悩んでいたら、予定にあるタスクの優先度を変えてみてはいかがでしょうか。