アルコールや甘い食べ物に頼らずとも、気分を良くする方法が見つかったかもしれません。
新しい研究結果が Journal of Happiness Studies に掲載されました。
ちょっと変わった慈悲のテクニックで気分がアップ
今回お伝えするのは、慈悲の瞑想に近いテクニックです。
慈悲の瞑想とは、あらゆる生命の幸せを願う瞑想法のことで、いすに座って数分間「家族や友人が幸せになりますように」と心の中で思い続けます。
これを行うと、うつの改善や不安が低下するなどの効果が得られるといわれています。
が、今回お伝えするのは、それとはちょっと違うやり方です。「歩きながらすれ違う人たちの幸せを願う」ということをします。
アイオワ州立大学の研究では、12分間の慈悲のテクニックで不安が減り、幸福感が高まることがわかりました。
実験の対象となった496人の大学生らは、4つのグループにランダムに分けられて、研究者の指示に従ったとのこと。
- 慈悲のグループ
- つながりを感じるグループ
- 比較グループ
- コントロール群
各グループともに、12分間、建物の中を歩き回りながら言われた通りの行動をしました。
まずは今回の目玉である、慈悲のグループが行ったことについて見ていきます。
- すれ違う人の幸せを願う
- 「この人が幸せでありますように」と本当にそう思っているように頭の中で考える
次に、つながりを感じるグループは、
- すれ違う人が自分と同じであることを考える
- 「この人も私と同じでストレスを感じるし、希望も持っている」
そして比較グループ。こちらは落ち込んだときによく使われるテクニックを行なっています。
- すれ違う人を見て、「自分の方が優れている」と考える
最後、コントロール群。
- すれ違う人の見た目を観察(服装など)
見た感じ、コントロール群以外はどれも効果的な気がしますが、結果は意外なことになりました。
参加者らの介入前後のメンタルを調べると、このように変わっていたそうです。
- 慈悲のテクニック - 人とつながっている感覚と共感力、幸福感が高まった。不安レベルが低下した。
- つながりを感じるテクニック - 人とのつながりや共感力が高まった
- 比較テクニック - 変化なし コントロール群と同じくらい
もっともメンタル面にポジティブな変化が表れたのは、慈悲のテクニックを行ったグループでした。
そして意外なことに、比較テクニックは有効でないこともわかったそうです。
慈悲のテクニックに良い結果が表れましたが、1つ気になる点があります。「もしナルシストだったら、人の幸せ願うより自分のことを考えたほうが効果的なのでは?」ということです。
アイオワ州立大学の研究は、パーソナリティの影響も分析しています。
すると、ナルシシスト、マインドフルネスが身についている人、関係なく慈悲のテクニックで気分が向上していたそうです。
他人の幸せなんぞ願えない、元々人の幸福を願っている、という人も試す価値アリだといえるでしょう。
もしも、「不安が多いなぁ」「気持ちが落ち込んでる」と思ったら、歩きながら目に付いた人の幸福を願ってみましょう。
だんだんと心が晴れやかになり、幸せな気分になれるかもしれません。
朝の通勤時、通学時などで試してみてはいかがですか?