家でクモを見つけるたびに叫び声を上げる人がいます。小さなその虫自体に脅威はないものの、なぜか怖がってしまうのです。
そんな彼らがクモへの恐怖心を克服する日は来るのでしょうか。
もしかすると、意外と簡単にその症状を抑えられるかもしれません。
新しい研究によれば、スパイダーマンやアントマンを見るだけで、クモやアリへの恐怖感が減ったそうです。
研究結果が Frontiers in Psychiatry に掲載されています。
マーベル映画で恐怖感が減る?
マーベル映画に登場するスパイダーマンとアントマン。
彼らは、クモやアリの力を借りて超人的な力を発揮するのですが、このように虫を好意的に捉えた作品を見ると、虫恐怖症への思わぬメリットがあるかもしれません。
研究者は言います。
恐怖刺激(スパイダーマンにおけるクモやアントマンにおけるアリ)による暴露療法で、恐怖を減らせるのかという疑問が浮かんだのである。
映画を使った映画療法というものはあるが、マーベル映画を使ってでの暴露療法の効果については未だ研究は行われていなかった。
ということで、この疑問に答えるべく、研究者らはマーベル映画を使った実験を行っています。
たった7秒で恐怖感が減った
研究を行ったのはバル=イラン大学らで、424人の参加者に実験を行いました。
まず参加者らは4つのグループ(スパイダーマン、アントマン、マーベルのオープニング、それからマーベルとは無関係の牧草の映像を見るグループ)に分けられ、それぞれ虫への恐怖レベルを答えた後、7秒間の映像を見ました。
視聴が終わり、再び虫への恐怖レベルを尋ねると、スパイダーマンとアントマンを見たグループにのみ変化が表れたそうです。
視聴前と比べてクモやアリへの恐怖感が20%ほど減ったという結果が出ています。
この結果から、遊びで見る映画でも虫恐怖症の治療に有効である可能性が示唆されました。
虫恐怖症の人はマーベル映画を見よう
研究者はいいます。
今回の結果は、虫への暴露療法に「スパイダーマン」のようなポジティブなコンテキストを追加することによって、大人のクモ恐怖レベルを減らせるかもしれないことを示した。
マーベル映画では、虫を好意的に描いているので、そのおかげか怖いという印象が修正されるのかもしれません。おぞましい存在から、ヒーローに力を与えてくれるポジティブな存在へと変わるのです。
クモやアリに恐怖心がある人は、何度もマーベル映画を見返すと、以前より怖がらなくなるかもしれませんね。
ちなみに、実験で使われていた映像は、2004年公開のスパイダーマン2と2015年公開のアントマンだったそうです。
アントマンは話題の映画「アベンジャーズ・エンドゲーム」にも出演しているので、ゴールデンウィークの空いた時間に見てみてはいかがですか。