相手のマネをする、しないで創造性を高めることが出来ます。
隣に友人がいて、「お茶を飲むタイミングが同じになった」「同時に体を掻いた」という経験はありませんか?
このように、人と行動が被るほど、ある創造性が高まるといいます。逆に、「相手が腕を組んだら、自分は組むのを辞める」の様に、相手と違う行動をとると、また別の創造性が高まったりもします。
今回は、マネと2つの創造性について見ていきましょう。
マネで収束思考能力が高まる
ブリティッシュコロンビア大学らの研究(1)では、相手の行動や姿勢などをマネると、収束思考に関する創造性が上がることを明かしました。
研究の対象となったのは、57人の被験者ら。彼らを「マネグループ」「マネしないグループ」に分け、実験を行っています。
はじめに、実験では次のような介入をしたそうです。
- 5分間、実験者と会話する
- その会話の間、実験者はマネグループには、被験者の体の動きや姿勢、口調などをマネした。
- マネしないグループには、なにもしなかった
介入が終わったら、10個のパターンを見つけるテストを行い、グループ間の創造性の違いを調べています。よくある並べられた図形からパターンを導き出す課題ですね。
その結果分かったのは、
- マネグループの方がパターンを多く見つけた
- マネグループの得点は、平均8.35点、マネしないグループは平均7.24点だった
ということ。パターンを見つける能力のことを収束思考といい、その思考力は創造性の要素の中でも得に重要視されているもの。実験では、マネによって収束思考がより発揮されたのです。
なぜ相手のマネをするだけで創造性が高まったかというと、著者曰く、
マネは、他者との関わりへの認識や協力を促すことと関係しており、それぞれが収束思考の高まりと関係している。
とのこと。マネが人との繋がりを高め、その結果、収束思考を促すのだそうです。持っている知識を活かして正解を見つけたり、法則を見つけたりするときには、誰かのマネをして人との繋がりを意識すると成功しやすくなるかもしれませんね。
マネをしなければ拡散思考能力が高まる
ブリティッシュコロンビア大学らは、もうひとつ実験を行っており、マネをしない方が拡散思考に関する創造性を高めることを明かしています。
被験者数58人。先ほどと同じように2グループに分け、5分間の会話で介入を行っています。
今度の創造性を測るテストは、パスタの新しい斬新な名前を考えるというもの。多く名前が浮かぶほど、拡散思考を発揮できているということになります。
さて、結果はというと、
- マネしなかったグループほど、より多く斬新な名前が思いついた
とのこと。最初の実験とは反対の結果が出ました。
マネの有無で高まる創造性に違いが出る理由は、著者曰く、
行動が被らないことは、独立やのけ者、不服従であることと関係しており、それぞれが拡散思考と関係している。
とのことで、マネしないようにすると人と違うことを意識させられ、拡散思考が促されるのだそうです。
拡散思考は、新しいアイデアを生み出すときに必要とされる思考法です。収束、拡散、どちらの思考を高めたいかで、マネを使い分けて見てはいかがでしょうか。
まとめ
過去のエントリーでも紹介したとおり、孤独が創造性を上げるということがあります。
自分と相手は違う、その認識が新しいアイデアを思い付きやすくしてくれるのです。しかし逆に、数学の問題を解くなど、1つの正解を導き出したい時には、孤独を感じていると答えにたどり着きづらくなるかもしれません。
状況に合わせてマネを上手く使い分けることが求められるでしょう。