音楽の訓練によって注意力が高まることが判ったかもしれません。
ギターやピアノを弾いているような人は、気を散らされづらく集中力があるということです。
新しい研究結果が Heliyon に掲載されています。
ミュージシャンは注意力が優れている
普通の人に比べて、ミュージシャンは「実行制御」が優れていたことがわかりました。
実行制御とは、気を散らさないように注意を保つ機能のことです。
ここが優秀だと、勉強中に周りの声や騒音を無視して、目の前の文章にだけ集中できます。
研究者は次のように言います。
プロのミュージシャンはより早く正確に、それから集中して重要なタスクに望める。そして、一般人よりも効率的に無関係な刺激を追いやることができる。
さらにこのアドバンテージは、トレーニングの年数が上がるごとに向上する。
研究結果は、メトロポリタナ・デ・シエンシアス・デ・ラ・エドゥカシオン大学の実験により明らかになっています。
実験では、18名のプロのピアニスト(17-33歳)と楽器を演奏したことのない18名(19-33歳)を対象に、注意力のテストを行いました。
すると、3つの注意の機能すべてでピアニストに軍配が上がったそうです。
- 注意の喚起 ... 警戒状態を保つ機能
- 定位 ... 注意の焦点を切り替える機能
- 実行制御 ... 邪魔な刺激を無視する機能
中でも、実効制御が最も高いスコアを取っていたとのこと。
そして音楽の訓練のメリットは、これだけに留まりません。
過去の研究によれば、楽器演奏のスキルだけでなく「ワーキングメモリ」も向上したという結果が出ています。音楽家に対するイメージとして抱かれがちな頭が良さそうというのは、本当だったのかもしれません。
研究者はいいます。
音楽のトレーニングと注意力向上の関係を示す我々の研究結果は、臨床や教育の分野で役立つだろう。
例えば、ADHDの人が気を散らさない術を身につけたり、学校のプログラムで認知能力の発達を促せたりしうるのである。
1つのことに集中できない、という悩みがある方は音楽のトレーニングが役立つことでしょう。
ただ、歌でもいいのか?どの楽器でも注意力が上がるのか?はまだわかりません。今後の研究に期待したいところです。