子供がナルシストになったら、あなたはどうしますか?
心理学的には、何もしないというのも選択肢の一つです。実際、いつの間にか治っていたということもあるからです。
しかし、そのまま成長したら、いじめられそうだと心配になる人がいます。どうにかしたいものの、「かっこよくないよ、可愛くないよ」というのは、子どもを傷つけてしまいそうです。
では、どんな言葉を掛けてあげたらいいのでしょうか?
今回は、ナルシストと子供の関係についてお伝えしていきます。
ナルシストと年齢
ナルシストな行動はある時期に、最も強くあらわれます。サンディエゴ州立大学とジョージア大学の研究から、その事実をお伝えします。
子供時代が最もナルシスト
子供がかっこつけたがっても、気にすることはありません。
ナルシストが最も強く表れるのが思春期までだからです。大人に成長するに連れて、ナルシストっぽさは減っていきます。
ナルシストと年齢の関係について調べたのは、サンディエゴ州立大学とジョージア大学の研究(1)です。
調査では、8~82歳の3445人のナルシスト度を調べました。その結果、15歳以下が最もナルシスト度は高く、徐々に年齢と共に下がっていき、30歳を境に一気に下がることが分かりました。
たとえ若い時期から「自分はすごい、天才だ、かっこいい」といっていても、歳を重ねれば、普通の人に変わっていくということです。
確かに、おばあちゃんおじいちゃんがキメ顔で自撮りをしているのは想像つきませんよね。
なぜ、ナルシストでなくなるのか?
年齢と共にナルシストでなくなる理由は、成長する中で失敗を経験していくからです。
サンディエゴ州立大学とジョージア大学の研究論文の著者は、次のように主張しています。
青年や若い人は、いろいろな出来事のなかで自分のことを評価していきます。大学入試、デート、就職試験などが、子どものころにはしなかった方法で彼らの自己肯定感を疑わせるのかもしれません。
私たちは、より失敗を経験した人たちがナルシストでなくなると信じています。若い人は単に、失敗を経験する機会が少ないだけです。歳を取れば、その機会が増えるのでナルシストでなくなるのです。
失敗の数だけ成長するということですね。「あれ、俺すごくないじゃん」と思うようになるのかもしれません。
ナルシストと親
歳を取れば変わる、といわれても納得できない人もいるはず。大人でもナルシストの人がいるからです。
彼らのナルシストが治らない原因は何なのでしょうか?
こんな育て方は、ナルシストを進行させる
親がナルシストだと子もナルシストになる、というわけではありません。遺伝の影響もありますが、ある育て方をするとダメなのです。
アムステルダム大学らの研究(2)では、子どものナルシスト度と、親の接し方について調査をしました。
すると、子どもを過大評価している親ほど、ナルシスト度を進行させることが分かったのです。「あなたは天才ね。何でもできるね。」と声を掛けてはダメだということです。
さらに研究では、遺伝の影響についても調べています。
その他の性格特性と同様に、ナルシストは遺伝性が適度にある...。
何人かの子どもはその気質のせいで、親の過大評価を受けたとき、他の子よりもナルシストになる可能性が高くなるかもしれない。
親の影響以上に、過大評価をすることがナルシストを進行させてしまうということです。
正しい育て方
「~くんは天才だね」という代わりに、温かい言葉を掛けてあげてください。
例えば、「良く頑張ってるね。」や、何か失敗した時には「誰でも失敗することはあるよ」など。
温かく接すると、失敗を認めて成長できる人間になります。他人との比較からではない、本当の自信が身に付くでしょう。
先ほどのアムステルダム大学らの研究では、子どもとの接し方が温かいとナルシスト度が低く、自己肯定感が高くなることも発見しています。
具体的にどう接したら良いか分からないという方は、セルフコンパッションを学んでみると良いと思います。
まとめ
子どもがナルシストかも?と心配になっても、気に病むことはありません。どんな人でもナルシストな行動が目立つのは、子どもの時期だからです。年とともに治ります。
しかし、子どもを過大評価していると、治らなくなるかもしれません。「すごい、すごい」といわず、「頑張ってるね」と温かい言葉を掛けてあげてください。信頼関係が築ければ、子どもはナルシストでない本当の自信が身に付きます。