「一生好きでいられることを見つけたい」「夢中になれるものを探したい」、若いうちは情熱を注げられるものを求めることがあるでしょう。
でも見つけられないことが多いはず。たとえ見つかったとしても、「やっぱりこれじゃなかった」と諦めてしまうこともあります。
そこで、今回お伝えするのは、そもそも情熱を求めるのは間違っているんじゃ?という話です。なぜ情熱が間違いになるのか見ていきましょう。
情熱を探す人は固定理論に当てはまる
何か熱中できるものを探している人は、難しい課題に挑戦したがらないという特徴があります。せっかく興味を持ったのに、難しいと感じた瞬間興味や好奇心を失ってしまうのです。
その特徴のことを固定理論といいます。固定理論とは、才能は固定されているものだという考え方のこと。彼らは、この理論に当てはまっているんですね。
新しい論文(1)では恋愛を例に、固定理論とその反対にあたる成長理論について分かりやすく説明しているので見ていきましょう。まずは、固定理論から。
人々は良好な恋人関係のことを、運命づけられたもの又は育んでいくものだと信じている。
デートを「運命の一人」を 見つけるものだと見なしている人は、前者の考え方(運命付けられたもの)に当たる。彼らは2人の困難に直面した時、すぐに別れてしまうだろう。
次に成長理論。
反対に後者の考え方の人(育んでいくもの)は、関係維持のためのモチベーションを上げることができ、2人の問題を解決することができる。
情熱を求めるような人は、恋人関係になっても、「付き合っていくのが難しそう」と思ったらすぐに分かれてしまうのだそうです。
何か1つ熱中できることを追い求めると、難しい課題に向き合おうとせず「これは自分の求めていたものじゃなかった」と言い訳して逃げてしまうのでしょう。
情熱は好奇心を失わせる
情熱を注げられることを見つければ、人生楽しくなるような気がしますよね。しかし、それは間違いです。逆に楽しいはずのことも興味や好奇心を失わせてしまうことになります。
イェール-NUS大学らの研究では5つの実験を行って、情熱を求めると好奇心を失うことを明かしました。
それぞれの実験では、
- 1~3の実験で、固定理論の人は好奇心を失いやすいということ
- 4の実験で、固定理論の人はやる気が高いと思い込んでいること、成長理論の人はやる気は続かないときもあると思っていること
- 5の実験で、固定理論の人は難しい課題に興味を失うということ
を明かしたそうです。
つまり、情熱を求める人はなかなか興味のあることを見つけられず、見つかったとしてもすぐに学ぶことを諦めてしまい、なのに自分はやる気がある方だと思い込んでいるということになります。
情熱がいかに好奇心もやる気も奪うのかが分かると思います。
興味の無いこと、難しいことに関心を向けない人たち
実際にどんな実験が行われたか気になる人もいると思います。そこで、2つだけ簡単に見ていきましょう。
実験1では、次の2グループの人たちを集めてある記事を読ませています。
- テクノロジーオタクの人たち
- 芸術やヒューマニズムに興味のある人たち
記事の内容は、テクノロジーオタクの人にはヒューマニズムについての話が、芸術の人にはテクノロジーの話が書かれています。
両グループともミスマッチな内容を読ませたんですね。結果の比較として、マッチした内容も読ませたそうです。
その結果、
- 記事が自分の興味とミスマッチだった場合、記事への興味が薄かった
ということに。
釣り好きな人が魚の記事はよく読むけど、量子力学の記事になると全然興味を感じられないみたいなことが起きたのです。
次に実験5では、固定、成長理論の2グループに分けて面白いブラックホールの映像を見せています。
映像を見た人たちは、誰もがブラックホールに魅了されたとのこと。しかし、その後、各グループの人たちにブラックホールの難しい理論の説明を読ませると、反応に違いがあったそうなのです。
どんな違いがあったかというと、
- 固定理論の人は、成長理論の人よりもブラックホールへの興味が大きく減った
とのこと。
つまり、情熱を求める人は難しい話に触れると、たとえ以前に興味を持っていたことでもどうでもよくなってしまったということです。
研究ではこの様な実験を5つも行って、情熱が間違いだということを明かしています。なかなかに説得力があるのではないでしょうか。
情熱でなく、成長マインドセットを身につけよう
情熱を探していると、固定型理論と同じ状況になってしまいます。では、情熱がダメなら、何がいいのでしょうか?
成長マインドセットを手に入れましょう。
NCU大学らの研究の中には、被験者に成長理論の大切さを教えることで、成長理論を支持させることに成功しています。今、固定化されたマインドを持っていても、後から変えることが出来るのです。
成長マインドセットというのは、成長理論を発展させたようなもの。自分は成長できると思い込むことで、失敗に強くなり努力する人間になれるというものです。
身につけ方は、実際に成長マインドセットで成功した人の話を聞くこと。そこで、この本を読めば、自然と身についていくはずです。
この本には、成長マインドセットを身につけたことで、ある区内の学生らが成績最下位からトップに上ったという話など、多くの成功体験が語られています。
一読すれば、成長マインドセットが身につくのではないでしょうか。
まとめ
情熱を注ぐことが完全に誤りだとは思いません。しかし、情熱を探すこと自体は間違っています。
その理由は、挑戦するのが難しいと感じた瞬間、興味が失われてしまうからです。
恋愛でも勉強でも仕事でも、困難な壁にぶつかることは多々あります。そんな時、「これは私のやりたかったことじゃない」と切り捨ててしまうのが情熱を探している人の特徴。結果、いつまで経っても、何事も続かなく成功から遠ざかってしまいます。
代わりに、成長マインドセットを身につけて、努力をし続けられる人間になることが大切です。そうすれば、困難なことにも立ち向かっていけるようになるでしょう。