「説得テクニックの面白い実験を知りたい」
「お店に募金箱を設置したけど、お金の集まりがイマイチ」
そんな人に向けたお話です。
コンビニなどでよく見かける募金箱。
箱と一緒に写真が張ってあるのですが、その写真に一工夫するだけで募金額はアップするそうなのです。
その工夫とは、人間の顔のある部位を写真に追加すること。
その部位とは一体どこなのでしょうか?
こんな写真を貼ったら募金額アップした
ヴァージニア大学の研究(1)では、写真に一工夫するだけでより多くの募金をしてもらえることをを明かしています。
実験の舞台となったのは、こども美術館。
エントランスに募金箱を設置し、一緒に「募金いただけると助かります」という文章とある写真を貼り付けたそうです。
どんな写真を貼ったかというと、
- 両目
- 鼻、口
- 椅子
のどれかをランダムにです。
その写真の種類を1週間ごとに変えて、募金額に違いが出るのか見ていったとのこと。
28週に渡って実験を行った結果、集客人数は週平均1200人。週の募金額の平均は$15でした。そして写真の種類による募金額の違いはと言うと、
- 椅子の写真では、一人当たり平均$0.008
- 鼻、口の写真では、一人当たり平均$0.010
- 両目の写真では、一人当たり平均$0.018
という感じに。
両目の写真の圧勝ということになりました。つまり、募金を増やしたい時は、募金箱に誰かの両目の写真を貼ればいいということです。
金額の差は結構大きい
実験結果を見ると、両目とそうでない写真での募金額の差は、$0.01です。日本円に換算したら、1円の違い。
一見小さな金額に見えますが、1000人募金すれば1000円の違いで、結構大きいです。
ヴァージニア大学の研究論文の著者曰く、
具体的には、両目の写真は椅子などと比較した時、一人当たりの募金額を平均で$0.01上げた。$0.01の違いは小さく思えるが、美術館への週の来場客数は1200人以上であって、募金額の全体的な増加は週当たり約$12になるのだ。
とのこと。
実験中の週の平均募金額が$15だったことを考えると、$12の増加はかなり大きいような気もします。一人当たりの金額の増加が少ないといえど、全体的に見ると結構大きいな値になるのです。
なぜ募金額が増えるのか?
なぜ両目の写真にしただけでより募金額が増えるのでしょうか?
著者曰く、
過去の研究では、目で見られていることがトリガーとなり、評判を懸念する結果からウォッチングアイズエフェクト(目の効果)が起こると推測している
といっています。人は見られてる感覚があると、社会的に望ましい行動を取るといったところでしょうか。
確かに、人にじっと見つめられて「募金お願いします」と言われたら断りづらい感じはしますよね。
そんな感じのメカニズムが働いて、より多く募金しようという気持ちになるのでしょう。
まとめ
募金箱と一緒に目の写真を貼ると、募金額が増えます。
お店の中には、「支援お願いします」という文章だけが書かれた募金箱を設置しているところもあるでしょう。しかしそれでは勿体ないのです。
実験では両目の写真を貼るだけで、1人あたりの募金額が1円ほどアップしています。微々たる金額ですが、塵も積もれば山となります。
お店に募金箱を設置しているという方は、両目の写真を貼ってみて実験してみるといいかもしれません。