心理の棚

心理学の論文や書籍から得た知識をシェアしていきます。当ブログでは、心理学の知識を学べるでしょう。

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学校の始業時間を遅らすと、テストの成績が伸びるかも

schooltime

睡眠不足のせいで勉強の成績が上らないという人は多いです。

睡眠が足りてないと、眠くて授業に集中できなかったり、学校から帰宅した後の勉強が面倒になったり、様々な悩みを抱えることでしょう。

「もっと寝たい」「学校の始まる時間がもっと遅ければいいのに」などと感じている方は多いはず。実は、始業時間を遅らしたことで学業成績が向上したという実験があります。なんと遅くに登校するだけで、心身共に健康になるようです。

今回は、始業時間と成績との関係について紹介します。

 

 

始業時間は25分以上遅らせるべき?

学校の始まる時間って早くないですか?特に遠くから通っている人からすると、しんどいと思うこともあると思います。

そんな中、2015年に行われた(1)論文では始業時間を遅らすと、学生の成績が向上するなど様々なメリットがあることを明らかにしています。この論文は、過去に行われた6つの実験をまとめて分析したものです。

研究で分かったのはこんな感じ。

  • 5つの論文で日中の眠気が減少
  • 2つの論文で不安やうつのスコアが減少
  • 1つの論文でカフェインの使用量が減少
  • 2つの論文で、プレゼンティズム(授業中に起きていることが困難な状態)や授業中に寝ることが改善
  • 1つの実験で注意力が上り、精度の高い論文でも注意の反応速度が向上

つまり始業時間を遅くすると、日中の眠気が減ってメンタルが改善され、勉強の成績がアップしたということになります。他にも、参加者達は始業時間が25~60分遅らされると、睡眠時間が25~77分延びたそう。

この研究結果を見ると、生徒達にとって始業時間が遅らされるのは、いいこと尽くしに思えます。さっそく日本でも取り入れて欲しいと思った人もいるはず。しかしこの論文の信頼性は高くなく、確信を持って「成績上がるから開始時間遅らせて」などといえないのです。

なぜ信頼性が高くないかというと、ランダム化比較試験(信頼性の高い実験方法)の数が少ないこと、客観的に睡眠の質を測る方法がまだないことなど、様々です。別の論文でも、信頼性の低さについて言及しています。

まだ確実とはいえないかも

過去にはいくつもの実験が行われていますが、まだ信頼性があるとはいえません。

2017年に出た論文(2)でもメリットが確かだとはいえないとの結論になっています。この論文では、先ほどの実験よりも多い11の研究を分析したものだそうです。研究に含まれた人数は297,994人で、かなりの規模となっております。

 

分析の結果はこんな感じです。 

  • 4つの論文で研究結果に問題アリ。結果の中に、始業を遅らせた人と遅刻の常習犯が混ざっていた。
  • 学校側の職員の数やスケジュールの問題によって、充分なエビデンスが得られる実験ができていない。

正確な実験結果が得られていなかったり、学校側の都合で質の低い実験しか出来なかったりと、いくつかの問題あったそう。なので胸を張って「始業時間を遅らすべき!」と言うにはまだ早いみたいです。

この分析結果から、論文の著者は、

「自信を持って効果があるとはいえない」

と結論付けています。もっと質の高い実験と、学校側の積極的な協力が必要みたいですね。 

まとめ

今のところ、始業時間を遅らすと学業成績が上るということは確実とはいえないものの、過去の研究の多くがメリットがあると示しています。心身共に健康になったり、授業への集中が増したりなど、様々なポジティブな影響が出るようです。

まだ研究の数は少ないですが、睡眠を延ばすことが成績アップに繋がることは間違いないかと思います。成績を伸ばしたい方は夜に早く寝たり、午後の休みの時間に仮眠を取ったりして、充分な睡眠を取ることが大切です。