グループでアイデアを練る際には、一般的に座って話しあうものですが、むしろ歩きながら話し合うことでアイデアは生まれやすくなります。
座っているよりも歩いている方が、次々と新しい案を思いつけるのです。
その証拠にスタンフォード大学の研究では、歩いている時に拡散的思考が60%高まったことを示しています。
座りながらの会議や話し合いは、効率的ではないといえるでしょう。
歩くことで拡散的思考が60%高まる
拡散的思考とは、複数のアイデアを次々に生み出す思考力のことです。
以前の研究では、エクササイズによって拡散的思考力が高まることが明らかになっていました。
しかし、エクササイズは実践的ではありません。アイデアを考える前に毎回運動していたのでは、時間も体力も消費しすぎるからです。
そこでスタンフォード大学の研究者らは、簡単に行える方法として歩きで創造性をアップできないのか?という疑問を持ち、実験を行いました。
今回の研究では4つの実験を行なった結果、やはり歩くだけでもアイデアは浮かびやすくなることが判明しました。
4つの実験の概要は次の通りです。
- 座りながらと歩きながらで1回ずつ創造性のテストを行った。成績を比較
- 3グループの成績を比較。座りながらと歩きながらで1回ずつ拡散的思考のテストを行ったグループ。歩きながらと座りながらで1回ずつテストを行ったグループ。2回座ってテストを行ったグループ。
- 実験2の3グループに、2回歩きながらテストを行うグループを追加
- 座ると歩くでアナロジーテストの成績に差が出るか調べた
1のみ拡散的思考と収束的思考の成績を測っています。
収束的思考は、3つの単語から1つの共通する単語を見つけ出すという問題を解かせたそうです。
「cottage Swiss cake」に共通する語として、「cheese」を回答するといった感じです。
さて、実験の結果、歩きながら考えたグループはどの実験でも拡散的思考テストの成績が高く、多くのアイデアを生み出せたそうです。
例えば、1つ目の実験では、こんな結果が出ています。
- 歩きながらのテストで拡散的思考の成績が約60パーセント上がっていた
- 歩きながらのテストでは、10個の問いに対して平均で3つの答えを出したが、座りながらのテストでは平均で2.5個しか答えられなかった
実験4では、アイデアの数を多く生み出せただけでなく、斬新でクオリティの高いアイデアを生み出せていたことも分かりました。
ちなみに、収束的思考は、歩いたほうが成績は低下したそうです。
今回の研究から、研究者は次のように言います。
歩くことは、斬新なアイデアを生み出しやすくするのに簡単に実行できる戦略である。
仕事で新たなアイデアを練るときには、歩くことが役に立つだろう。
ということで、いいアイデアを思いつきたい時や一杯アイデアが欲しい時には、歩くべきだといえます。
会議やグループでのアイデア出しは、歩きながら行うのが最も効率的なのです。
どこを歩いたらいいの?という疑問に関しては、自由に歩きまわれる場所がもっとも創造性を高めてくれます(サウスウェスト大学らの研究より)。なので、外で障害物のない場所を歩き回りましょう。
歩く他にも、創造性は瞑想を行うことで高められます。数ある種類の瞑想の中でもオープンモニタリング瞑想が効果的なので、こちらを20分取り組むのもオススメです。