心理の棚

心理学の論文や書籍から得た知識をシェアしていきます。当ブログでは、心理学の知識を学べるでしょう。

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不安を感じやすい人は言語性知能が高いかも

worry-IQ

過去の心理学研究では、不安を感じやすい人ほど知能が低いという結果が出ていました。

しかし今回お伝えする話は、それとは全く逆のこと。不安を感じやすいほど知能が高いというお話です。

そもそも、過去の研究には1つ問題があり、そのせいで知能が低いと結論付けられていました。が、今回お伝えする内容では、その問題を除いたことで得られたもの。より信頼できる研究からその事実を見ていきましょう。

 

 

不安とうつ傾向が知能と関係する

レイクヘッド大学は、不安や反芻思考などと知能の高さが関係しているのかを研究(1)したようです。

被験者の数は126人、次のようなデザインで実験しています。

  • 質問紙で被験者の不安障害やうつ傾向、テストに対する不安の影響などを調べる
  • 知能検査で言語性知能、非言語性知能を測定
  • 質問紙と知能検査の結果から関係性を導く

言語性知能というのは、読解力や語彙力などの思考力のこと。この能力が高いと、本を読むスピードが速かったり、相手の話をすぐに理解したりできるという特徴があります。反対に非言語性知能は、パズルを解くなどの言語とは別の能力のことです。

実験では、この2つのIQについてみていったんですね。

で結果はというと、

  • 不安と反芻思考の得点の高さと言語性IQの高さに相関があった
  • 非言語性知能は過去のことの思い出しやすさとネガティブな相関があった

といった感じに。

不安を感じやすいと、言語性IQは高くなる傾向にあるようです。反対に非言語性IQは、未来や過去のことを考えていると低くなるのだそう。それもそのはず、パズルを解いてる時に、別のことを考えてれば集中力は減ります。ゆえにパズルを解きづらくなる、といったように、非言語性IQが低くなるのは当然の話です。

今回の実験結果を受け、著者曰く、

より言語性知能の高い人は、過去や未来のことを詳細に思い出すことができる。それが反芻思考や不安を導くのであろう。

とのことで、不安になりやすいのは、もしかしたら知能の高さのせいかもしれないと示唆しています。

ということで、不安は知能が高い証拠でもあるのです。

 

なぜ過去の研究とは別の結果が出たのか

別の過去の研究では不安を感じやすいと知能が低いという結果が出ていました。しかし今回お伝えした研究では逆の結果が出ています。この違いは一体何なのでしょうか?

過去の研究の問題点

過去の研究には、1つ問題があったようです。それはテストに対する不安を除いていなかったこと。知能検査など、自分の能力を測られるテストは、人に不安を与えます。この不安のせいで知能が低いという結果が導かれてしまったのです。

そもそも、不安はワーキングメモリの性能(頭の回転)を低下させるといわれています。被験者たちはテストへの緊張でその性能が落ちてしまい、いつもの実力が発揮できなくなってしまったのです。

不安の影響を除いた

今回お伝えしたレイクヘッド大学の研究は、不安の影響を除いて結果を導き出しています。そのおかげで、被験者本人に備わっている知性を測定することに成功したようです。

学校のテストなどで実力を出せないという人は、不安の影響を除いたらより高い成績を出せるかもしれませんね。

 

まとめ

不安を感じやすい人ほど、言語性知能は高くなる傾向にあります。過去に紹介したエントリーでも、成績を上げたり(不安の強い医学生の方が実力が上?不安を強みへと変えるには - 心理の棚)、クリエイティブだったり(なぜ不安を感じやすい人ほど創造性が高いのか? - 心理の棚)と不安にはいくつもの強みが隠れています。

不安は避けるべきものではなく、その強みを活かすように使ってみましょう。きっとあなたの力になってくれるはずです。